競売に至るまでには裁判所での様々な手続きが必要になります。裁判による判決によって競売の手順を進める方法がありますが、費用も時間もかかります。
しかし、住宅ローンなど借入時に抵当権の設定をすると返済滞納があった際、支払督促も裁判所の判決も不要で債権者は競売の申立てをすることができます。
■支払督促とは何か
名称が似ているため分かりにくい話ではあるのですが、住宅ローンの滞納によって送られてくる督促状と支払督促とは異なるものです。住宅ローンの滞納によって送られてくる督促状は、請求書のようなもので表現も柔らかく返済をお願いするような内容になっています。また、送り主も債権者である金融機関などとなります。
これに対し支払督促とは、借金などの返済を求めるために債権者が簡易裁判所の裁判所書記官に申立てを行い、裁判所が債務者宛に借金などの支払いを命じる通知のことをいいます。この通知について裁判所は書類審査のみを行うだけなので形式が整っていれば裁判所は支払督促を債務者宛に通知することになります。手続きが簡単なため、消費者金融などではよくこの手続きが取られます。
■支払督促の効果
債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申立てを行わなければ、債権者が申立てると裁判所は仮執行宣言を付さなければなりません。この宣言に基づいて債権者は強制執行の申立てができるようになります。すなわち差し押さえを行って債務者の財産を競売によって売却することを申し立てることが可能になるのです。
もし、2週間以内に異議申立てを行ったならば、通常裁判に話が進み、債務の存在や返済などについて裁判で争うことになります。
■担保権の実行
住宅ローンの滞納によって金融機関から送られてくる督促状を無視したとしてもすぐに競売が実行される訳ではありません。督促状が催告書に変わり、それでも債務者が対応しない場合に最後の手段として金融機関は担保権すなわち抵当権を実行します。
この実行の手続きが非常に簡単で、登記簿などの提出と被担保債権の存在を証する文書の提出をし、競売申立ての書類を揃えるだけで完了し、支払督促や裁判による判決などは不要です。それだけ登記簿に設定した抵当権は法的に強いものだといえます。
住宅ローンの滞納してしまっても、すぐに競売が開始されることは基本的にはありませんが、債権者がその気になればいつでも競売の申立てが可能であることを意識しましょう。対応が早ければマイホームを売却しないで済む方法を模索することも出来ますし、任意売却を選択して競売よりも遥かに有利な条件での売却することも可能です。早目の対応をするようにしましょう。