債務負担行為という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。言葉通りであれば、債務を負担する行為ということになるのでしょうが、いまひとつイメージが掴めません。債務負担行為についてみていきます。
行政における債務負担行為
国や地方公共団体などの行政機関では、原則予算にしたがって処理を行っていかなければいけません。逆にいえば予算として計上されていない内容の行為を行うための支出をすることはできないということになります。国や地方公共団体などでは大規模かつ長期的な工事などの契約も多く、予算が付かなければその年の代金が支払えないということでは請負者も困ったことになってしまいます。このため債務負担行為という考え方が必要になるのです。
債務負担行為とは、一般的には長期すなわち1年以上の期間に渡って発生する支払いの決まった金額について、予算としての計上はしないまでも、その支払い額を記載しておくということです。例えば来年は5千万円、再来年は3千万円、工期の最終年には2千万円といったように記載をしておき、将来に到来する支払いを意識しておくということなのです。
また、債務負担行為に似た言葉で支出負担行為というものがあります。この支出負担行為とは、国や地方公共団体がお金を支払う場合には、その原因となる行為が必要であり、この原因となる行為のことをいいます。例えば工事の請負契約の締結などは支出負担行為に該当します。
逆にいうと支出負担行為が無いものに国や地方公共団体はお金を払うことができないのです。
マイホームでの債務負担行為
国や地方自治体ではありませんが、債務負担行為とは、一般家庭におけるローンと同じようなものになります。マイホームを購入する場合には、長期に渡って返済を続けることとなりますから、債務負担行為と呼べると考えられます。
行政の予算編成時には常に債務負担分を意識して計画が立てられますが、個人においても住宅ローンの返済額について意識した上で収入に基づく支出計画、すなわち生活費の使い方を考えることが大切です。
なお、住宅ローンの返済が債務負担行為であれば、支出負担行為は金融機関と締結した金銭消費貸借契約ということになります。
自己破産における免責不許可自由
自己破産手続きの中で債務負担行為が問題となることがあります。自己破産によって、債務を返済することを免除されることを免責されるといいますが、この免責には裁判所の許可が必要になります。
しかし、借入やクレジットカードで購入した商品の現金化などによって不当な債務負担行為であると認定をされてしまうと免責不許可事由となることがあり、自己破産できなくなるので注意が必要です。