相続

相続の遺産分割では裁判はできない?

残念ながら相続を巡って親族間で紛争になることがあり、最後は裁判で争われることもあるという話を聞いたことがあるかと思います。しかし、意外なことに遺産分割についてはそもそも裁判が出来ないということをご存知でしょうか。

LP_banner_02

遺産分割で争いが生じたとき
遺産分割で争いが起こった場合には裁判が起こせないとなると、どのようにして争いを治めるのでしょうか。
まず、複数の相続人が存在する場合には相続人が集まり遺産分割協議といって当事者で相続分についての協議を行います。この協議で相続人全員の同意が得られれば争いになることはありません。
しかし、相続人のうち一人でも合意しない者がいることで遺産分割協議が整わない場合には、家庭裁判所で遺産分割調停を行うことになります。この遺産分割調停とは第三者の有識者に間に入ってもらって遺産分割について協議を続けることになります。この調停での相続人全員の合意が形成されない場合に、遺産分割審判に進むことになります。遺産分割審判では争点について整理を行い、必要があれば調査を行った後、裁判官が遺産分割について審判を下すことになります。この審判によって同意しない相続人がいたとしても争いは終結となります。

それでも不服がある場合
審判の内容に不服がある場合には、即時抗告という手段があります。即時抗告による不服申立手続きは控訴のようなイメージのもので相続人は高等裁判所にて主張や立証を行うことになります。即時抗告審で和解が成立しない場合には、高等裁判所が抗告審による決定を下すことになります。
この抗告審にも不服がある場合には、許可抗告又は特別抗告という手段があります。許可抗告は高等裁判所に対して不服申立てを行い、高等裁判所が抗告を認めた場合に最高裁判所へ争いが持ち込まれることになります。特別抗告は、当事者が直接最高裁判所に不服申立てを行うことをいいます。
しかし、実際には即時抗告審の内容に法令違反や憲法違反などの重大な問題がない限り、許可抗告も特別抗告も認められる可能性は殆どありません。したがって通常では即時抗告審が最終決定となります。

相続に絡んだ訴訟
以上のように遺産分割に関しては判決ではなく、審判となるため裁判が行われるということはありません。では、相続に関する裁判は行われないのかというとそんなことはありません。
遺言書の有効性や、遺産や相続人の範囲について争いがある場合には裁判が行われます。すなわち遺産分割の手続き上の争いではなく、そもそも遺産分割の前提についての争いであれば裁判になるということです。

LP_banner_02

ピックアップ記事

  1. 競売における売却基準価額とは何か
  2. 督促状の納期限とペナルティについて
  3. 住宅ローンによる隠れ貧乏にならないために
  4. マイホームを手放すことになってしまったら
  5. 相続時に名義変更をしないとどうなる?

関連記事

  1. 相続

    不動産を相続することになったけど、減価償却って?耐用年数って?

    急に資産を相続することになったけど、減価償却って?耐用年数って何? 初…

  2. 相続

    相続 ~土地の税金について~

    土地を相続した際に税金はどれくらいかかるだろうか? 今回は、これらにつ…

  3. 相続

    相続分譲渡とは?

    相続というのはいつの日か誰にでも必ず訪れます。その時のためにいろいろと…

  4. 相続

    相続の支払いには困らないように控除と特例がある

    日本人は、誰しも財産があろうとなかろうと相続の問題を経験することでしょ…

  5. 相続

    相続の裁判における要件事実とは何か

    相続権の有無などが裁判で争われる事となった場合に、要件事実という言葉が…

  6. 相続

    相続における障害者控除の内容と控除額

    障害を持つ方は一般的に経済力に厳しい状況であり、親族の援助などに頼らざ…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 任意売却

    任意売却して後も賃貸住宅として住める方法とは?!
  2. 任意売却

    任意売却に興味あり、どこに相談したらいいの?
  3. 債務整理

    競売の売却決定はいつ?
  4. 賃貸オーナー様

    賃貸経営における減価償却費の計上について
  5. 不動産基礎知識

    住宅ローンを組む際の適正ポイントを過去文から振り返りまとめて新たに住宅ローンの適…
PAGE TOP