相続の問題で、よく質問されるのが、「何親等までが相続が可能でしょうか」ですが、これは、質問がそもそも間違っています。何故なら、他人だって相続可能なのに、ましてや親族ならば尚更相続が可能でしょう。今回は、「相続の範囲と3親等の関係性での誤解」について紹介しましょう。
■相続の範囲とは、法定相続の順位が関係します。
①子供の相続に関する疑問
まず、相続がおこる場合では、被相続人が亡くなる前に「遺言状」があれば、この「遺言状」によって、相続が実行されます。
「遺言状」がないとわかれば、法定相続人が決める優先順位に従って「配偶者」は、別格扱いとなり常に「2分1以上の相続」が確定しています。苦楽を共にした相手に被相続人が亡くなったその後の生活に心配なく暮らせるようにと、民法による人間的な配慮と言えるでしょう。
その次の順位に「子供たち」が「2分1を分ける」ことになります。子供たちの中には、「子、養子、婚外子」が含まれます。
婚外子(=非嫡出子とも言う)に関しては、以前は相続分に差があり、子供(=嫡出子とも言う)の半分しか相続分がなかったのですが、平成25年12月5日に改正されて嫡出子と非嫡出子では、同じ配分となりました。
養子に関しては、被相続人が亡くなる前に戸籍に入っていれば、その後に生まれた養子の子供にも相続権の権利は残ります。
◎代襲相続の疑問
「配偶者」を別として話を進めていきますが、第1の優先順位である「子供たち」の中にはすでに亡くなっている場合もあります。その子供の相続分を孫(子供の子供)が引き継ぐことが、「代襲相続」と言います。仮にその孫も亡くなっている場合には曾孫(子供の孫=孫の子供)が引き継ぎます。
この「代襲相続」は存在していれば次へと移りますが、現実的ではないので曾孫(3親等)までが、ありえることでしょう。
尚、子供が相続放棄した場合は、代襲相続は行われませんので「相続欠格」(被相続人を脅かした者や相続人に値しない人格など)「相続排除」(被相続人が問題のある相続人に対して排除する)ならば可能です。
②親の相続の疑問
子供が全て亡くなっている場合には、両親が相続します。少子高齢化の上に結婚や子供を産まない人達が増えている為に、親たちが相続する可能性も増えるでしょう。配偶者が3分の2以上の相続で、3分の1を父と母で分けることになります。
また、両親が亡くなって祖父母が存命の場合は「代襲相続」が続きます。同じように曽祖父母までが現実的な可能性があります。こちらも3親等です。
③兄弟が相続する疑問
第1順位の子供たちや、第2順位の親たちの「代襲相続」がない場合に限り、被相続人の兄弟姉妹が4分の1を分けることになります。4分の3が配偶者の相続分です。
今までお話ししたように、兄弟たちがすでに亡くなっている場合は兄弟の子供である甥や姪が相続分を分けることになりますが、「代襲相続」は、ここまです。甥や姪が3親等です。
■3親等と相続の関係
被相続人から見ると、「曾孫」「曽祖父母」「甥・姪」「血族のおじ・おば」「血族でないおじ・おば」「血族でない曽祖父母」「血族でない甥・姪」などが、3親等にあたります。
先に述べたように、「配偶者」以外で法定相続人とみとめられているのは、この中では、「曾孫」が第1順位の系統になり、「曽祖父母」が第2順位の系統になり、「甥・姪」が第3順位の系統にあたります。この中で血族なのに法定相続人の権利がないのが「血族のおじ・おば」となります。それ以外の対象も法定相続人にはなりえません。
最初にお伝えしたように3親等と相続範囲は別の問題となります。優先順位は甥や姪までが範囲の可能性に入っています。何親等までが相続できるのかの質問が間違っていることに気づいてくれましたでしょうか。
先ほど可能性について言いましたが玄孫(第4親等)がいるとしても、子供・孫・曾孫が全て亡くなる確率の方がゼロに近いと言えます。「代襲相続」の性質を理解すれば納得できるでしょう。
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