不動産基礎知識

競売の流れから見る専門用語

競売について詳しく知りたい方にとって、競売に関わる専門用語は難しく感じるでしょう。競売に関わる用語を全て紹介するよりも、全体の流れから頻度の高い必要な用語をピックアップして紹介しましょう。これ以外のわからない用語は、各自で調べると頭に入りやすくなるでしょう。

■競売の流れ

①住宅ローンの滞納
家の持ち主は、「債務者」といって、お金を借りた場合の負債を抱えることになり、担保となる家が抵当(借金の保証に押さえられる事)になります。家の持ち主が督促されても滞納期間3か月を超えると、全額一括返済を求められます。

◎【期限の利益の喪失】
住宅ローンの滞納によって金融機関は、お金を借りた債務者に対して、住宅ローンの分割による支払いの権利がなくなることを通知します。

◎【代位弁済】
保証会社は、金融機関に対して、代わりに返済を行うことを伝えて、債務者(家の持ち主)に、一括返済を求める通知をします。この時点で返済がなければ、競売を含む法的手続きに進みます。

②競売が決定する
◎【担保不動産競売開始決定通知】
債権者(お金を貸した側)である保証会社は、裁判所に対して競売の手続きを行います。その内容を通知したものが、「担保不動産競売開始決定通知」といいます。

③裁判所から執行官の調査
競売通知から2か月後くらいに、裁判所の執行官によって、競売物件の詳しい調査や写真を撮影します。この時の調査報告の書類などを3点セットと呼ばれる報告書にまとめます。

◎【3点セット】
3点セットは、「現況調査報告書」「評価書」「物件明細書」の3つによって、競売を入札する物件の情報を確認することができます。

◎【現況調査報告書】
執行官によって、土地の形状や建物の種類や、その状況がどうなっているのか、不動産に占有者(通常は持ち主ですが、消費者金融や一般の債権者もある)の情報などの記載と、建物や土地の写真があります。

◎【評価書】
裁判所から依頼された評価人(不動産鑑定士)によって、売却基準価額、買受可能価額(これ以上安くは売却されない価格)の参考にする資料を作成します。

◎【物件明細書】
「現況調査報告書」や「評価書」を基に、裁判官の書記官によって、裁判所が競売手続きの為の資料を作成します。

④期間入札の通知と公示
◎【期間入札の通知】
競売の決定通知から4か月後に、競売の入札を行う為の情報の公開を行います。

◎【期間入札の公示】
競売の通知から約6か月後に、公示日として、いつ入札が開始するかの広告を入札日の前に、新聞や広報誌などで一般に公開されます。内容は、3点セットに記された情報です。

◎【入札期日】
裁判所が決めた期間内に、入札書による入札を行う日程のことです。

◎【入札の保証金】
入札に参加するには売却基準価額の20%、またはそれ以上を裁判所に納めますが落札できなければ返還されます。

◎【開札日】
競売が入札によって落札されると、その結果を公開する日です。

④落札の決定と明け渡し
◎【売却許可決定】
競売の落札が決定すると、債務者(家の持ち主)に、競売落札者から競売落札額の入金確認の報告がきます。

◎【執行抗告】
落札の決定に対して、債務者は、裁判所の手続に対して不服申し立てをすることができます。

◎【配当手続き・配当金受領】
配当手続きとは、代金の分配手続きになります。債権者は、1件だけとは限らないので、債権額の割合に応じて配当金(分配額)を分けることになります。

◎【所有権移転】
落札者の代金納付が完了すると、物件の所有権移転が許可されます。これによって、家の持ち主は、立ち退きをしなければなりませんが、居座った場合には明け渡しの強制執行命令を裁判所から受けることになります。

◎【強制執行命令】
競売になった場合に、債務者が勝手に不動産を処分しないように、差押えを強制的に行う場合があります。明け渡しに関しても、裁判所による命令により明け渡しを強制執行することがあります。

■まとめ

他にも細かい専門用語はありますが、個人的な判断で記載した分になりました。あとは、各自で調べることでさらに詳しくなるので、自分で確認することが重要です。

競売に関することや不動産の投資のことなら全ておまかせ、ご相談も「アブローズ」までご一報ください。

ピックアップ記事

  1. 住宅ローンによる隠れ貧乏にならないために
  2. 不動産投資による不労所得を得るための仕掛け作りとリスク
  3. 賃貸経営を行うのに宅建の資格は必要?
  4. 督促状の納期限とペナルティについて
  5. 賃貸不動産の経営管理を安易に考えてはいけません!

関連記事

  1. 不動産基礎知識

    競売を実行された債務者が負うリスクとは?

    競売の実行におけるリスクというと、競売物件に潜むリスクや明け渡しのリス…

  2. 不動産基礎知識

    共有者がいる物件で共有分割訴訟が起こった場合、発生し得る競売について

    一つの物件に複数の共有者がいる場合、共有分割訴訟という事態が起こりうる…

  3. 不動産基礎知識

    競売における未登記建物の取扱い

    住宅ローンを利用する場合に金融機関は土地と土地上の建物に抵当権を設定し…

  4. 不動産基礎知識

    競売で一戸建て住宅を購入する際には

    競売で住宅を購入する為には、幾つかの注意すべき点がございます。その注意…

  5. 不動産基礎知識

    競売で期間入札の後に行われる特別売却とはどのようなものか

    裁判所による不動産の競売は、通常は期間入札という方式で行われます。この…

  6. 不動産基礎知識

    不動産の売却における二つの契約とは

    不動産を売却しようとした場合に、一般的には二つの大きな契約を必要としま…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 任意売却

    【任意売却】連帯債務者と連帯保証人の違い
  2. 離婚と不動産

    離婚した元夫婦が家を売る理由
  3. 債務整理

    競売による「原始取得」とはどういうものなのか
  4. 債務整理

    競売した場合に残りの債務対処方法
  5. 不動産基礎知識

    マンション投資における損益通算の重要性
PAGE TOP