不動産基礎知識

競売による売却の結果、発生した残債の扱いは?

住宅ローンの返済の滞納を続けていると、債権者である金融機関はできる限り融資金額を回収しようとします。具体的には抵当権の実行により住宅ローンの目的物である住宅を競売によって売却し、売却代金をもって回収を図ります。
しかし、住宅ローンの残債が全額回収できるとは限りません。競売で売却した結果、回収した金額を控除しても、なお残債が発生した場合には、その残債はどのような扱いとなるのでしょうか。

LP_banner_02

■開札結果が出るまで売却金額は不明
裁判所で行われる不動産競売は、一般的に期間入札で行われます。期間入札とは、裁判所が1~2週間程度の期間を定め、その間に購入希望者が購入しても良いと思う金額で入札を行い、最も高い金額を入札した者が落札者となる入札方式のことです。
期間入札による入札の結果は、開札まで待たなければならず、一度入札した金額は入札期間内であっても変更することはできません。
したがって競売の結果、物件がいくらで売却されることになるかは、開札されるまで分かりません。もしかすると高額で落札されているかもしれませんし、最低売却価格に近い金額で落札されるかもしれないのです。

■ローンの残額と競落価格
例えば2000万円のローンの残金がある場合に、競売の結果、競落価格が2000万円であったとしても、ローンの返済は完済とはなりません。実は競落価格から競売の手数料などが差し引かれた金額がローンの返済に充当されるためです。
競売によって住宅ローンの残額を大きく上回る金額で売却でき、住宅ローンの残額、競売の手数料等を控除した結果、残金があれば債務者に渡されることになります。
しかし、競売による売却価格は一般の売買市場の7割程度と言われており、競売の売却金額ではローンの残額を全額返済することができないケースが多いのが実情です。
ローンの返済が完了しない場合には残債が発生することになります。

■残債の扱いはどうなるか
競売の結果、残ってしまった債務にも当然に返済の義務があります。債権者にも依りますが、職を有し、返済能力があると認められると裁判を経て給料の差し押さえなどを受けることもあります。
このため最終的には自己破産を選択する方も多く、自己破産の理由の2割程度が住宅ローンであるとも言われています。
競売以外に任意売却という方法があります。任意売却は競売と異なり、債権者の承諾を得ることで一般の市場で担保物件を売却することが可能となります。
任意売却であれば、残債が発生した場合の返済方法についても債権者と交渉することが可能となり、無理のない返済計画を立てることもできます。住宅ローンの返済に困ってしまったら任意売却も検討に加えてみてはいかがでしょうか。

LP_banner_02

ピックアップ記事

  1. 賃貸経営を行うのに宅建の資格は必要?
  2. マイホームを手放すことになってしまったら
  3. 不動産売却における委任状取り扱い説明書
  4. 住宅ローンによる隠れ貧乏にならないために
  5. 不動産投資による不労所得を得るための仕掛け作りとリスク

関連記事

  1. 不動産基礎知識

    抵当権に基づく競売申立ては実は簡単

    マイホームを建てるために住宅ローンを借り入れると、通常は土地と建物の登…

  2. 不動産基礎知識

    競売の費用は原則として債務者の負担

    住宅ローンの返済を滞納していると、やがて債権者は裁判所に抵当権に基づく…

  3. 不動産基礎知識

    家の売却、売り時はいつなのか?

    築年数が経過するごとに資産価値が減少していく性質を持つ不動産・マイホー…

  4. 不動産基礎知識

    【住宅ローン】余分に借りる事は可能なのか!?

    住宅ローンを組むにあたって、金額を余分に借りる事はできるでしょうか。結…

  5. 不動産基礎知識

    競売における物件明細書では何が分かるのか

    競売における物件調査には3点セットというものを利用します。この3点セッ…

  6. 不動産基礎知識

    競売不動産には、どんな物件があるの?

    競売の不動産というと、やはり住宅ローンが支払えず差し押さえられ競売に出…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 任意売却

    任意売却は個人の信用情報に影響を与えるのか
  2. 不動産基礎知識

    抵当権消滅請求によって競売を回避できるか
  3. 任意売却

    競売落札後の「登録免許税と軽減率」
  4. 任意売却

    競売物件を入札する流れとリスク
  5. いろいろ

    知らないと大問題!? 農地の競売の必須知識「農地法」
PAGE TOP