不動産競売は裁判所で行われるものではありますが費用が発生します。この費用は誰が負担し、どれくらいの金額が掛かるものなのでしょうか。また、その取り扱いについても見ていきます。
■結局誰が費用を負担するのか
競売の申立を行うためには、予納金といって競売の手続きを進めるために必要なお金や、手数料、郵便切手などの費用が事前に必要になります。この費用は不動産や裁判所によっても異なりますが、何十万円から100万円を超えることもあり、まとまった金額となります。
この予納金を含めた競売の申立費用は競売の申立人、すなわち債権者が用立てて裁判所に納めています。申立費用は債権者が負担するものなのでしょうか。債務名義の裁判によって勝訴し、強制執行の権利を得た債権者の場合には、裁判費用を負担した後に、競売実行の費用まで負担となるとかなりの金額になってしまいます。
しかし、債務者はそもそも現金を所持していない場合が多く、そのような状態にある債務者に予納金などの負担を求めても無駄になるケースがほとんどです。
しかし、不動産競売にて売却が行われれば、売却代金から優先的に競売申立費用が申立人に返却されることになっています。したがって、債務者の財産の売却代金から費用が充当されるため、最終的には債務者が負担しているということになります。
■確実に申立人に返還される訳ではない
しかし、競売申立の費用は確実に申立人に全額が返却されるとは限らないことに注意が必要です。確実に戻ってくると思って競売の申立を行うと痛い目に遭うことがあるのです。
まず、競売を実行しても売却できないケースがあります。競売は3回の期間入札と特別売却を経ても売却が決まらなかった場合には、競売による売却手続きは終了することになります。したがって換価されないため、申立費用は全額ではなく、実費分が差し引かれた金額が申立人に返却されることとなります。この場合、ほとんど返却されないケースもあります。
このほかにも申立をしても配当の見込みがないために無剰余取消しが行われるケースもあります。この場合も実費を控除した残額が返却されることとなります。
■競売の申立前に任意売却の交渉を
このように競売の申立を行った債権者にもリスクが無いわけではありません。しかし、申立費用を仮であっても用立てている以上、申立が受理されたら取り下げるのは容易ではなくなります。
したがって任意売却を進めたいのであれば、やはりどれだけ遅くとも競売の申立が行われるまでには債権者と交渉を進めたいところです。債権者も任意売却にはメリットが多いことも認識していますので、早めの相談には快く乗ってくれるケースが多いです。何事も早めの相談が大切です。