任意売却

競売申立人が自ら落札することは出来るか?

競売の入札は、原則として誰もが参加できます。唯一、債務者だけが入札への参加を認められていません。競売申立人自身が入札に参加することについても特段問題はありません。競売申立人が自ら落札することにはどのような意味があるのでしょうか。

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自己競落とは
競売では自己競落という言葉があります。自己競落とは、競売申立人が自ら落札することです。また、競売物件に居住している債務者が、親戚や知人にお願いをして、居住者の替わりに落札することも自己競落と呼ばれます。
競売申立人が自ら落札する自己競落は、かつて、金融機関などが不良債権処理のために子会社を使って広く行われていました。バブル崩壊後に滞ってしまった債権処理を進めるために、金融機関の100%出資による子会社が、親会社である金融機関が競売申立人となって競売に供した不動産について、応札者がいない場合に落札します。
これによって権利関係が複雑な担保不動産も競売を経ることで整理され、再販しやすくなるのです。

自己競落の動機
競売申立人による自己競落が行われるケースについて、具体的なケースを仮定して考えてみたいと思います。
1億円の債権を持つ債権者が債権回収を諦めて、1億円の債権を抵当権と一緒に2千万円で債権回収業者に債権譲渡をしたとします。債権譲渡を受けた債権回収業者は、抵当権の設定された担保不動産を競売に掛けることを検討します。競売の結果、3千万円で競落されれば債権回収業者としては、1千万円の利益を手にすることになります。
しかし、担保不動産の居住者を退去させて、少しリフォームなどを施せば4千万円で売却できるとなれば、自己競落をすることで儲けが多くなることになります。債権回収業者は、抵当権に基づいて入居者を退去させることはできませんが、競売申立人となって自己競落することで競落人として引渡命令を受けて強制的に退去させることが可能となるのです。

自己競落のメリット
競売申立人が自己競落することのメリットとして、競売申立人が考える担保不動産の価値よりも安い金額で落札される可能性を排除することが出来ます。もし、他者が落札しても考える価格よりも高い価格で落札されることになるので問題はありません。
また、競売申立人が自己競落することのメリットとして、差引納付の申出が可能となることにもあります。
競売申立人は、基本的に落札金額から配当を受ける者であることから、自身が払った競落代金から配当金を受けることになります。これは不合理なので事前に差引納付の申出書を裁判所に提出し、問題が無いと認められれば落札代金と配当金の差額のみを納付すれば足りるということになり、代金全額を用意する必要が無くなります。

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