競売不動産を売却するために行われる期間入札では、当該入札期間中に最も高い金額で入札をした人が競売不動産の落札者となり、競売不動産を手に入れることとなると説明されることも多いです。
大枠では間違いではないのですが、細かくみていくと少し異なる部分もあります。
開札から売却許可決定まで
裁判所の行っている不動産競売では、入札可能な期間が終了して開札によって最も高い金額で入札をした人を最高価買受申出人として決定をします。この時点では厳密には最も高い金額で入札をした者という立場でしかありません。入札の際に規定通りの保証金を納付して、最も高額な買受希望価格で入札すれば誰でも最高価買受申出人になることはできます。
裁判所は最高価買受申出人が決定すると、開札を行った日から1週間以内の日に売却決定期日を設定します。そして、開札から売却決定期日までの間に最高価買受申出人に競売不動産の売却を行って良いかどうかを審議するのです。この審議は基本的には書類手続きなどに不備は無かったか、入札は適正に行われたかということなどについて審議が行われ、通常、最高価買受申出人に売却許可決定が下ります。
売却許可決定から確定まで
売却許可決定が下されたら最高価買受申出人は買受人となります。買受人が競売物件の代金を支払って所有権を取得できるかというと、実は売却許可決定の時点ではできません。売却許可決定の次は、売却許可決定を確定する必要があります。この確定のためには売却決定期日の翌日から7日間程度の異議申立期間を経なければなりません。
この異議とは競売不動産の所有者や賃借人などの関係者の売却決定に対する異議となります。この異議申立てを執行抗告とも呼びます。この異議申立てがなければそのまま売却許可決定が確定し、代金納付期限通知書を受け取って初めて最高価買受申出人は、競売不動産の残代金を納付することが出来るようになるのです。この残代金を支払って最高価買受申出人は落札した競売不動産の所有者となります。
異議申し立ては時間稼ぎにしかならない
異議申立てをして執行抗告を行っても、しっかりとした理由がなければ時間をお金と労力の無駄になってしまいます。結局は買受人の所有になってしまうことでしょう。
もし、競売を避けたいのであれば、早めの決断が大切です。最高価買受申出人が決定した場合には競売を取下げてもらうことも難しいのです。
もし、競売回避の方法として任意売却をお考えでしたら、一日も早い相談が売却成功への道筋になることでしょう。