賃貸経営によって年収を増やしたいと思っても、家賃収入が増加することによって不動産投資による獲得利益が大きくなれば納税しなければならない所得税額も大きくなります。
しかし、家賃収入が増えたからと言って利益に直結する訳でもありません。どういうことでしょうか。
■賃貸経営による年収とは
一般的に年収とは1年間の収入の合計のことを意味します。したがってサラリーマンであれば勤めている会社からの月給、ボーナス、残業による賃金などの支給された合計金額のことになります。手取りといって社会保険料や税金などが控除された手取り金額のことを年収と思っている方がいらっしゃいますが、それは手取り年収などと呼ばれており、年収とは区別されています。
それでは賃貸経営による年収とはどのように考えたら良いのでしょうか。明確なルールは無いようですが、サラリーマンの年収と同じような考えであれば家賃として獲得した年収ということになるかもしれません。しかし、これを個人の年収としてしまうのには少々無理があるように思われます。
賃貸経営による年収は、家賃収入から賃貸経営に必要な経費と賃貸マンション等の取得についてローンの利用があればその返済額も控除した金額を年収と考えるほうがしっくり来ると思います。
■家賃収入が増えれば税金も増えるのか
一般的に家賃収入が増えれば年収も上がり納税すべき税金なども増えることになります。しかし、賃貸経営には運営に必要な経費があるために必ずしも年収が上がるとはいえません。
例えば減価償却費と言って建物の取得に要した費用を配分して計上できる期間は経費のほうが大きくなる傾向があります。この費用計上は実際の支出を伴わないことから実際の収入は増えているけれども税金の計算上は収支が赤字となることもあり、節税効果が高いといわれています。
しかし、減価償却費は耐用年数によって計上できる期間が定められていることから、その期間が終了することによって年収が大きく上昇することになります。これによって税金が発生し、税金の計算上は収支が黒字であるにも関わらず賃貸経営が苦しくなることがあります。これを不動産投資のデッドクロスと呼びます。
■ローンとのバランスが大切
家賃収入からローンの返済、経費の支払いを行うのが賃貸経営のモデルですが、投資ローンは税金の計算上の経費とはならないために年収は上がったのに納税が出来ないという状況が起こりえます。
収入が増えるにも関わらず、黒字倒産によって資産を失うことになりかねないようなジレンマを抱えないためには家賃収入とローン返済額のバランスを十分に検討しておくことが大切です。