競売は期間入札といって一定の期間を定め、その間に物件の購入意思を持った人達が入札を行い、開札日において最も高い金額で入札をした人が物件購入の権利を取得するというシステムです。
この入札は誰もが無条件で行うことができる訳ではなく、入札を行うための条件のひとつに買受申出保証額を事前に納めておく必要があります。
競売制度の成立
住宅ローンなどの返済などが出来なくなってしまった債務者が所有している不動産について、債権者が裁判所に申立てを行い、当該不動産を裁判所で期間入札という入札方式で売却するのが裁判所で行われる競売です。
最も高い金額で入札を行った者が買受人となり、一定の手続きを経た後に買受人が納めた代金を債権者は貸金の返済金として回収します。
残債と諸費用を足し合わせた金額以上で売却されれば、残金は債務者に渡されます。
競売は入札による競争によって高い価額で売却することを目的としていますが、この競売制度を維持するために色々な工夫がなされています。
買受申出保証額もそのひとつです。
買受申出保証額とは何か
競売においては最も高い金額で入札を行った者が買受人となりますが、実際に購入する気が無いのに高い金額で入札することを認めると競売が成立しなくなってしまいます。
競売を執り行うにも執行官や書記官などによって書類の作成が行われ、評価書を取得するなど費用が発生しており、その費用負担は一旦申立人が負担しますが、競売の売却が決まったときには売却代金から充当されますので適切に競売が行われなければなりません。
そこで買受申出保証額を事前に差し入れることを入札希望者に課すことで、本当に購入する意思があるのかどうかを確認しているのです。
もし、入札を行った結果、最高価買受人になった者が購入をキャンセルした場合には、事前に差し入れた買受申出保証額は返還されずに没収されることとなるのです。
実際に購入する場合には買受申出保証額は買受価格に充当されることとなり、入札の結果、買受人になれなかった者には買受申出保証額は返還されます。
買受申出保証額はいくらか
入札を希望する者が事前に差し入れる買受申出保証額は、競売に供される物件によって異なります。
具体的には売却基準価額の2割が買受申出保証額となります。
この売却基準価額は期間入札の公告に記載されていますので当然に事前の確認が可能です。
また、最高価買受人以外に買受申出保証額は返還されますが、開札の結果、次順位だった買受申出人が次順位買受の申出を行った場合には最高価買受人が代金を納めるまでは返還されませんので注意が必要です。
このような制度を採り入れることによって、不動産の競売ではいい加減な入札を事前に防止しているのです。