年金を受け取っていた人が亡くなったときに、亡くなった方が受け取るはずであった年金を未収年金又は未支給年金と呼びます。亡くなった人は被相続人となって遺産の相続が行われますが、このような未収年金は相続においてどのような取り扱いになるのでしょうか。
• 公的年金の取り扱い
年金は公的年金と私的年金とに分けられます。公的年金を受給している人が亡くなったら、年金を受給する権利も無くなるために「年金受給権者死亡届」の提出をしなければいけません。死亡届を提出することで年金の支給は止まりますが、国民年金や厚生年金は公的年金であり、2カ月分を後払いで受け取ることになっています。
年金の支払いは偶数月に行われ、例えば6月の支払い月に受け取る年金は4月と5月の2カ月分の支給ということになるのです。このため4月に亡くなった場合には6月に4月分の年金を、5月に亡くなった場合には4月、5月の2カ月分の本来は受け取るはずの年金があり、これが未収入年金となります。
未収年金を受け取るためには遺族からの請求手続きが必要になりますので、死亡届の提出と合わせて手続きをするようにしましょう。未収年金を受け取ることができるのは、被相続人の死亡時に被相続人と生計を同じくしていた一定の親族に限られます。
こうなると公的年金の未収年金は被相続人の遺産となり、相続税の課税対象になるように思われますが、実は公的年金の未収年金は相続税の課税対象になることはありません。公的年金は被相続人と生計を同じくしていた者や親族などの生活を保障することを目的として支給されているものと考えられているためです。
したがって相続税評価の対象ではなく、受領者の一時所得として扱われることになります。
• 私的年金
私的年金の未収年金の場合には公的年金と取り扱いが異なります。被相続人が亡くなった後の支給対象となる残存期間において未収年金を受け取る権利のことを年金受給権といいますが、被相続人が自分自身を受取人として保険料を負担していた年金の年金受給権を相続人が受け取った場合には年金受給権は相続財産となり相続税評価の対象となります。
したがって相続税の申告においては未収年金受給権について課税評価を行う必要があります。このときの評価額は、一括で受け取ることができる場合の金額、解約返戻金、残存期間に応じて求めた年間の平均受給額に予定利率を乗じて求めた額のいずれか最も高い金額となります。
• 相続税の取扱い
以上のように未収年金の相続税における取り扱いは法律によって加入することが定められた年金に該当するか否かで変わってきます。適切に申告を行って追徴課税などの対象とならない様にしたいものです。