競売において、落札して引き渡しが行われても、債務者がそのまま居座っていたりして、スムーズに物件を引き取る事が難しくなる事があります。それを解決する為の「強制執行の流れ」を紹介していきましょう。
■競売の落札後には
競売物件を落札すると、買受人は保証金以外の残金を支払って、裁判所による所有権の移転が行われますので、この段階で持ち主は、買受人(=落札者)になります。
しかし、現状で債務者である元の所有者はお金の返済が困難である以上は、立ち退きの予定が立たないので、居座ってしまう事になるでしょう。だからと言って、このままで良いわけがないので、「強制執行」の手続きも並行して申請していかなければ、先に進めない状況が考えられます。
■強制執行への流れ
◎引き渡し命令を理由に「強制執行の申立て」
買受人が落札後に競売代金を支払った後に、「不動産の引き渡し命令」を、裁判所に対して申立てを行います。「不動産の引き渡し命令」が、裁判所から確定の通知をもらうまでに約2週間かかる事になります。この確定が行われると、「強制執行の申立て」ができるようになります。
◎立ち退きの話し合いと「強制執行の申立て」は同時進行で
立ち退きの話し合いがスムーズに実行されると良いのですが、相手の状況からすると、マイナスの心理状態ですので、八方塞がりになっていていつまでも先に進めないのです。
同時進行で「強制執行の申立て」をしなければ多くの時間を無駄にしてしまいます。相手の出方を待つのでなく、こちらから動かないと何も変わりません。
◎明渡しの催告
「強制執行」が実行される前に、「明渡しの催告」で債務者や占有者に対して、立ち退きの宣告をする事で、こちらの側の意思が法的に実行可能である事を伝えます。強制執行の前日までは、まだ強制力はないので、その前に立ち退く準備をしてもらう事になっています。
裁判所の執行官が、搬出業者と共に競売物件のある現地で、債務者や占有者に対して「強制執行」の日時の通達を行います。荷物搬出業者は下見の状況から、荷物の量やそれを運び出す要員など考えて見積もりを出す事になっています。
◎強制執行の実施
強制執行の日時までに、明渡しが行わなければ、法的処置として債務者や占有者に対して、強制的に競売物件から追い出される事になります。
同時に、残されている荷物なども、搬出業者によって指定の倉庫へ運び出される事になっています。債務者の荷物は一定の期間を倉庫で保管される事になりますが、引き取りが不可能な場合は、処分される事になっています。
■強制執行の費用は
債務者が負担すべき費用なのですが、実際には生活にも困る状態で、費用の支払いは困難です。その為に、買受人が立て替えで費用を負担する事になります。立ち退きが完了してから債務者に対して請求する事になりますが、実際問題としては費用の回収は、困難な事を理解しておく必要があるのです。競売で不動産物件を手に入れる前に、このような事態は把握するべきなのです。
■まとめ
競売物件を落札する前に、立ち退きの状況を、処理する方法まで考える必要があると言う事なのです。競売物件とは、多くの場合が問題を抱えている事も含めて、市販価格よりも安く手にできるのを理解した方が良いでしょう。
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