マイホームに抵当権等を設定していて、その債務の支払いが滞ってしまうと、債権者は支払いをするよう催促を続けるのですが、それには意味があります。ここでは、民法の「時効の中断」に関連することをみていきましょう。
時効はどのように中断されるのか
借金をしていて、それを何年も逃げていると、時効により、借金自体がチャラになるお話しを聞いたことはないでしょうか。
実は、借金には「時効」があるのですが、いつの時点から消滅時効がスタートするかというと、「最後の返済または借入の時」になります。
時効の中断で勘違いされやすいのが、中断という言葉です。中断と聞くと、そこで一時ストップするように勘違いされますが、そこは法律用語の難しいところで、「時効の中断」は、再度ゼロから時効期間がスタートすることを意味します。
では、どのようなことで、時効は中断とみなされるのでしょうか。
裁判上の請求
民法147条に規定される中断事由のひとつで、「裁判上の請求」があります。請求は、債務者に対して単に「払え!」ということでは成立せず、裁判所による手続きを経ている必要があります。
ここで気を付けたいことは、判決をとられた覚えはない場合でも、「公示送達」や「郵便に付する送達」という方法があり、本人が知らない間に判決がとられていることもあるのです。支払いが滞っていて、債権者から音沙汰がない時は、いきなり訴状が届くこともあるので注意です。
催告
一番典型例は、内容証明郵便が送付されてくることです。裁判上の手続き(請求)をする前に、内容証明郵便等で支払いをうながす「催告」をし、その後6ヶ月以内に支払い督促や、訴訟の手続きをとることで時効の中断とされます。
差押え・仮差押えまたは仮処分
競売を例にすると、住宅ローンの債権者である金融機関が住宅を競売にかけることになりますが、そこで、不動産が差押えられます。競売を申し立てたタイミングで、時効の中断とみなされます。
債務の承認
承認とは、債務者が権利の存在を認めることをいいます。例えば、住宅ローンの返済を請求された場合、一部の返済や利息だけを支払う行為がそれに当たります。
競売による差押えの消滅時効の中断
競売などの差押えによって時効が中断することを先に述べましたが、2020年4月より民法改正によって「消滅時効」の期間が変わります。基本的には「5年」が時効期間となります。
①権利を行使できる時から10年
②権利を行使できることを知った時点から5年
のうち、どちらか早い方が実行されます。
まとめ
債権者は時効の消滅にならないよう、上記の事由を行使し、時効のリセットをおこないます。債務者である物件の所有者は、時効を待っていては、いつ、競売にかけられてしまうかわかりませんので、債権者に支払いの相談をおこなうか、任意売却を考えてみてもよいでしょう。
競売に関することや不動産投資でのご相談は「アブローズ」までご一報下さい。