不動産の競売物件は、一般的な不動産場売買における価格相場と比較して安く買うことができるということで人気が高まっています。なぜ安く買えるのでしょうか。競売物件の買い方にもその理由があるのでしょうか。
■競売物件の売却スケジュール
裁判所では債権者の申立てにより、数多くの競売物件が取り扱われています。申立てを受けた裁判所は、競売開始決定の通知を債務者に送付します。ここから競売物件の調査、評価が行われ、競売の公告、期間入札の実施と進みます。
競売物件の入札希望者は、競売の公告から期間入札の終了日までに競売物件の調査を行って、入札額を決定し、入札をしなければいけないということになります。広告から入札開始までは裁判所によっても異なるかと思いますが、おおむね3週間程度です。
したがって競売物件の買い方の特徴のひとつとして、物件を調査する時間が限られているということが挙げられます。
■競売物件の調査の仕方
競売物件の買い方において、物件の調査方法にも特徴がみられます。一般的な売買では仲介業者が物件の説明や内見の段取りなどを行ってくれますが、競売では全て自分で調査し、確認を行わなければいけません。
裁判所から入手できる物件に関する資料は、3点セットといわれる「物件明細書」、「現況調査報告書」、「評価書」が主だったものです。「物件明細書」には物件を落札しても引き継がなければならない権利などの記載がされています。「現況調査報告書」には、執行官が物件に赴き調査した結果がまとめられており、土地建物などの物的状況のほか占有者についての記載もあります。「評価書」には不動産鑑定士による競売物件の評価内容が記載されています。
物件の調査は、これらの3点セットをもとに行いますが、実際に現地に赴き物件の調査はもちろん競売物件に住んでいる方の確認、周囲に住んでいる方から債務者の評判を聞いたりなどの調査を行ったりすることもあります。また、物件の中までは基本的に確認できないのですが、なかには物件の中を見せて貰えるように交渉するような方もいらっしゃいます。
このように競売物件の買い方として希望者が自ら色々と調べることが重要となります。
■入札価格の決定
調査結果を踏まえて入札価格を決定し、入札に臨むこととなります。このとき競売物件には瑕疵担保責任がなく、裁判所に物件の引き渡し義務もありません。こられのことを十分に考慮に入れて入札価格の検討するため競売物件の価格は一般的な売買市場よりも低くなるのです。
これらを十分に理解しておかないと競売への参加は危険です。任意売却は一般的な売買市場と同水準での売買が期待できますが、競売ですと価格が相当に安くなるというのは、買い方にこのような特徴があることも大きな理由のひとつなのです。