住宅ローンの滞納を続けていると、金融機関から督促状や催告書が送付されてきます。それでも返済を行わなければ、金融機関は裁判所へ抵当権を実行すべく競売申立を行います。
競売が始まると後は粛々と競売完了に向けて裁判所主導で売却が進められることになりますが、競売の申立てから売却の完了までの流れはどのようになっているのでしょうか。
競売申立申請が持つ意味
住宅ローンを滞納していると、やがて債権者である金融機関は競売の申立てを行います。債務者の方は裁判所から競売開始決定の通知が送られてきて競売の申立てが実際に行われたことを知ることになる訳ですが、金融機関としても実際のところは好んで競売の申立てをしている訳ではないのです。
金融機関としても完済まで返済を続けて貰えるのが一番ありがたいのです。競売で売却しても元本の回収もままならない可能性が高く、残債についても回収が確実ではないにも関わらず競売申立てをするのは、少額でも良いので金融機関として手間を掛けずに元本の回収を図るためであり、競売であれば申立てをしてしまえば、裁判所主導で売却を行ってくれるからなのです。
競売申立から競売完了までの流れ
それでは、競売の申立てが行われた後どのような流れで売却完了まで進むのでしょうか。
競売申立が行われ、競売開始決定がされると、概ね2、3カ月程度で現況調査が行われます。これは執行官と評価人が競売の対象について物的な確認、権利の態様の確認を行うためです。
この現況調査から債務者に期間入札通知が行われるまでに概ね3、4カ月程度ありますが、この間に執行官は現況調査報告書、評価人は評価書、書記官は物件明細書の作成を行います。期間入札通知後から期間入札が開始されるまでに約2カ月ありますが、この間に物件の公告、3点セットの閲覧開始などが行われます。
期間入札が開始されて開札までが1週間のところが多く、開札によって最高価額買受申出人が決まり、2、3日後には売却許可決定が下り、1ヶ月半も経たないうちに代金納付がされると、そこで売却は完了し、所有権は移転となります。1週間以内には裁判所から法務局に所有権移転登記の嘱託がされ、登記簿上の所有者も変わります。債権者にとっては代金納付の時点で競売申立の目的は達成となり、配当などの手続きを待つだけとなります。
競売の申立から完了まで
競売の申立てから完了までの流れを追うと、競売開始決定の通知を受けてから競売完了まで概ね半年から9カ月程度となります。したがって、競売が始まったら債務者としては退去する段取りを考えなければいけません。
もし、競売開始されてから任意売却に動いたとしても残り半年から9カ月程度で売却しなければならないということです。もし、任意売却をお考えでしたら、売却に時間を掛けられるため競売申立の話が出る前に債権者と話をしておくことをお勧めします。