相続

相続における裁判所の関わり

相続が発生した結果、納めるべき相続税があればそれは国税となりますので、税務署の管轄となります。しかし、相続は常にスムーズに進む訳ではありません。
相続による遺産の分割や相続権の取扱いなどは民法によって定められていますが、それでも争いや権利の実行などで裁判所との関りが出てきます。具体的にはどのような状況で裁判所が関与するのでしょうか。

LP_banner_02

相続の問題は家庭裁判所
裁判所にも高等裁判所や地方裁判所などの種類がありますが、相続問題を扱うのは基本的に家庭裁判所になります。家庭裁判所は家事事件と少年事件を専門に扱う裁判所で、相続に関するものは家事事件となり、手続きの受付、調停や審判など様々なことを行います。

家庭裁判所での手続き
相続人が被相続人の権利や義務、財産や債務を相続しないための手続きに相続放棄という方法があります。また、被相続人の財産の範囲内で債務を相続するための手続きには限定承認という方法があります。これらの申述は家庭裁判所に対して行って初めて効力を持つことになります。
このほか相続放棄や限定承認を行うための期間伸長や遺留分放棄の手続きや相続人が存在しない場合に相続財産管理人の選任を行ったり、特別縁故者といって相続人ではないものの被相続人との間に特別な縁故関係にあった人に遺産を分与するための手続きも行ったりしています。

家庭裁判所での調停
家庭裁判所では、遺産分割調停、寄与分を定める処分調停、遺留分減殺による物件返還請求調停、遺産に関する紛争調整調停などを行います。調停は裁判とは異なり、判決ではなく話し合いをもって紛争などの解決を図ることを目的としています。相続発生後に遺産分割などで話し合いを進めてきた結果、まとまらないため調停に進んだにも関わらず、裁判所で話し合いを行うことに意味があるのかと思われる方もいらっしゃることでしょう。
しかし、調停では調停委員という第三者が話し合いの間に入ることになりますので、当事者だけではまとまらなかったことも上手くまとまるケースが多くあります。また、調停で決まったことは書面に残り、守らなければ強制執行などの手続きを取ることも可能となります。

家庭裁判所での審判
調停でも当事者が合意できない場合には、審判に進みます。審判は家事審判官が調査して、それぞれの相続人の事情などにも配慮しつつ相続による遺産分割を強制的に行います。この審判について異議がなければ、判決と同様の効果を持つことになりますが、異議があると地方裁判所などで訴訟事件として裁判で争われることとなります。
これ以外にも相続では家庭裁判所は関与しているところが多いので、相続で何か問題が発生した場合には「家事相談」という窓口に相談を持ち掛けてみられることをお勧めします。

LP_banner_02

ピックアップ記事

  1. 不動産投資による不労所得を得るための仕掛け作りとリスク
  2. 実は厳しい税金滞納への対応
  3. 競売における売却基準価額とは何か
  4. 後妻の子の相続における取り扱い
  5. 在宅ローンの老後破産リスクは任意売却で回避しよう

関連記事

  1. 相続

    相続税と譲渡所得による所得税について

    相続した不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得に基づく所得税が課…

  2. 相続

    相続発生! 納税義務者は誰になる?

    ”相続”が発生した際、納税義務者となるのは、相続(又は遺贈)により、財…

  3. 相続

    子供なし夫婦の相続の注意点

    近年、子供のいない夫婦が増えてきているといいます。女性の社会進出などに…

  4. 相続

    相続税の延滞によって発生する税金とは

    相続税は相続が開始された日から10カ月以内に申告と納税を行わなければな…

  5. 相続

    相続の遺産がわからないときにどうすれば良いか

    相続は人の死を契機にして開始されることになります。本来であれば生前から…

  6. 相続

    相続するときの調停期間ってどのくらい?

    もし、親族の間で相続に関する問題が上がり、話しがまとまらなくなったらど…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 債務整理

    抵当権があれば支払督促も裁判所の判決も不要
  2. 任意売却

    競売に掛けられた物件に住み続ける事が出来る!?
  3. 不動産基礎知識

    競売手続きで必要な住民票について
  4. 不動産基礎知識

    裁判所で行われる競売の概要
  5. 離婚と不動産

    家の住宅ローンが残っているなら ~離婚後の一人暮らしの注意点~
PAGE TOP