競売により、投資用物件を探している方も少なからずいることでしょう。任意売却とよく比較される競売ですが、任意売却とは異なり債権者が裁判所に申立てることで、自動的に競売は進行していきます。では、債権者が申立てを取り下げると、競売はどうなるのでしょうか。
■競売申立ての取り下げ
申立ての取り下げとは、申立てをした債権者がその申立てを撤回する行為です。債務者の所有する不動産を、競売により売却する手続きを始めますという「担保不動産競売開始決定通知」というお知らせが届くと、競売の申立てを取り下げてもらえるまで、およそ3~6ヶ月ぐらいとなります。その期間に、競売物件の調査や競売がなされるのです。
取り下げの時期は、競売開始決定がされて後でも、売却が実施されて売却代金が納付されるまでは、いつでも申立てを取り下げることができます。
ただし、売却が実施されて、執行官による最高価買受申出人の決定がされた後の取り下げについては、最高価買受申出人または、買受人と、2番手に買受人になった人の同意が必要となります。しかし、買受人が代金を納付して後は、申立ての取り下げはできません。
■競売が狭き門に
最近では、競売をするよりは任意売却を選択する債務者が増加していることから、競売は次第に件数が減ってきていて、購入者側からすると競売物件が狭き門となってきていて、2009年のピーク時に比べると、3分の1の水準となっています。
これも、競売の通知が来るまでは、金融機関からの通知を無視していた債務者が、「担保不動産競売開始決定通知」を見たとたん、慌てて連絡をとり、競売の申立てを取り下げてもらうというケースもあるようです。
■申立ての取り下げをするには
競売申立てを行うには、開札期日前日までに管轄の裁判所に取り下げ書を提出する必要があります。取り下げ書とは、事件番号、当事者、対象不動産、申立てを取り下げる旨を記載したもので、管轄の裁判所窓口に提出することになります。
取り下げ書は、裁判所提出用製本、債務書用副本、所有者用副本を用意し、必ず競売申立ての際に使用した印鑑を押印しなくてはいけません。また、取り下げに必要な費用は1000円の収入印紙を物件数と、登録免許税になります。
■まとめ
競売を回避したい人は、いつまでなら取り下げられるかということを重要視していますが、一旦、競売手続きが進んでしまうと債務者からの協力を得るのはむずかしいようです。ただ、競売情報の中には「取り下げ」と明記される物件も競売物件の約10~15%の確立であるようです。競売をする際にはこのような情報にも気を付けて見ていきましょう。
不動産のことに関して何か疑問やお困りごとがありましたら、お気軽に「アブローズ」までご相談ください。