競売は通常「きょうばい」と発音しますが、法律用語としては「けいばい」と発音します。したがって裁判所で行う不動産競売は民事執行法に基づくものであるため「けいばい」と発音するのが正しいということになります。競売といっても「きょうばい」、「けいばい」、「せりうり」と様々な読み方があるように、その方式も様々ですが、どのようなものがあるのでしょうか。
■競売の目的
一般的に競売とは物品を売却する方法のひとつの形態で、購入希望者の間で価格を競わせて最も高額な買い希望価格を提示した者に売却するというものです。
この方法による物品の売却は古くから行われてきており、生鮮食品など受給によって価格が変動するものや、絵画や宝石などの貴重な品の販売方法として用いられてきました。
オークションも基本的には競売と同じ意味です。
■競売の方式
競売、オークションの方式は、シングルオークションとダブルオークションに大きく分けられます。シングルオークションとは、売り希望者又は買い希望者の片方だけが価格を提示するスタイルのオークションのことです。これに対しダブルオークションは、売り希望者と買い希望者の両方が価格を提示するスタイルのオークションです。一般的に不動産の競売はシングルオークションの方式で行われ、証券市場での売買にはダブルオークションの方式が用いられています。
シングルオークションは、公開入札方式と封印入札方式とに細分化されます。
公開入札方式では、買い希望者が提示する入札価格をお互いに知ることができ、競り合うことで価格がつりあがっていくことを目的とする方式です。絵画などの芸術品のオークションなどはこの方式で行うことが多いです。
封印入札方式では、買い希望者が提示する入札価格をお互いに知ることができません。競り合うことはありませんので入札価格が一番高額であった者が落札することとなります。不動産競売では現在この方式を採用しております。
■不動産競売によって決まる落札価格
不動産競売は封印入札方式を採用しておりますが、以前には公開入札方式を採用していた時期もあります。しかし、談合や妨害などが横行していたため民事執行法の制定により期間入札が行われるようになったのです。それでも問題点は解消されず、平成16年には短期賃貸借の廃止、競売妨害排除などが定められました。
改正を通じて競売の門戸は広がってきていますが、それでも一般の方にとってはハードルが高い点が多く、安易に入札参加することはお勧めできません。競売とは談合や競売妨害との闘いの歴史であると言えます。
これらの努力が実りつつあり、競売による落札価格の水準は昔よりも上昇してきています。しかし、通常の売買市場における水準と比較すると、リスク負担が高い分だけ低い水準となっています。