抵当権がついたままの物件を手に入れた場合、いつ所有する物件の抵当権が実行されてしまうかと、当然ですが不安になってしまいます。そこで取られる手続として、抵当権の消滅があります。この手続がどのような物なのか、また競売とどのように関係してくるのか見ていきましょう。
抵当権をはずす手続
抵当付き物件を所有している買主が、抵当権をはずすために行うのが「抵当権の消滅請求」です。この制度は、買主が債権者に対して抵当権を抹消することを求めることができる制度となっています。2004年以前にはこの制度のことを、「滌除(てきじょ)」とよんでいました。
〇「滌除(てきじょ)」について
内容としては抵当権を抹消することは変わりませんが、以前は債務者や第三取得者に有利な仕組みであったため悪用される事例が多く改正される事になりました。例えば、競売において「滌除」の申立てをされたときに債権者は競売手続ができますが、猶予期間が1ヶ月しかなく、「増加競売」を利用しなければなりませんでした。
この競売は、「滌除権者」が示した金額よりも1割以上高く落札を保証しなければならないため、1割以上の保証金を用意しなければならなかったのです。さらに最悪の場合、自分で買受ける義務までありました。
「抵当権の消滅請求」の手続
〇買主側
例えば、任意売却の際に後順位抵当権者が抹消に応じてくれない場合、この制度を利用して抵当権が付いたまま所有権を買主に移した後、買主は妥当だと思う金額を抵当権者に提示し (この場合の提示金額に関しては、自由に決めることができます)これを内容証明で抵当権者に送付します。
〇抵当権者側
選択肢として2つあります。1つ目は、提示された条件を受け入れ買主が示した金額を受取って、抵当権を抹消するというものです。2つ目は請求を拒否し、2ヶ月以内に競売手続を裁判所に申立てます。2ヶ月以内に競売の申立てを行わない場合は、1つ目の金額で条件を受け入れたことになります。
上記のことから、抵当債権者は提示金額を受けたほうが良いか、競売で売却したほうが良いか選択をすることになります。また、買主のほうも債権者が競売で回収できる金額と見込むよりも高い額を提示する必要があるということです。
「無剰余取消し」
「後順位抵当権者」の場合は、競売をしても「無剰余取消し」になってしまいます。無配当の債権者が競売手続をしても、裁判所が申立てを却下して取り消す制度です。この制度は、競売申立て後、任意売却や担保消滅請求の邪魔をさせないというものです。(権利の濫用をさせない)
つまり、債権者は競売を申立てても取り消されてしまうので、条件を受入れるしかないのです。無配当の債権者であれば、このやり方で抹消することができるということです。
まとめ
抵当権の消滅請求をする場合の手続を書いてきました。個人で進めるにはなかなかハードルが高い手続と思われます。こういった時は、専門の業者へのご相談をお勧めいたします。
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