競売物件で倉庫を落札した場合に、倉庫の中に物が残っていたらどうすればいいのでしょうか?倉庫自体は落札者の物である事は当然ですが、その中の残置物も落札者の所有?それとも、以前の所有者になるのでしょうか、詳しく見ていきましょう。
残置物の所有者
倉庫を購入後(落札後)なかに残置物があれば、片付けなければ使用できないのが現状です。倉庫を購入したわけですから、残置物の所有者は購入者になるのでは?と思われますが、あくまで不動産(倉庫の所有権)の購入ということで、残置物の所有権はありません。
従って、残置物は以前の所有者の物になりますので勝手に処分することはできません。これは倉庫に限らず、例えば住宅として使用されていた建物でも残置物がある場合は同様の扱いとなります。
もし、勝手に処分した場合は民事的には「不法行為」になり、損害賠償を請求される事もありますし、刑事的には「器物損壊罪や窃盗罪」となる可能性も出てきます。
対処法は?
勝手に処分ができないとなると、どうすればいいのでしょうか?
対処する方法はいくつかありますが、まず以前の所有者と交渉して処分してもらうか、法的な手続きをとり強制的に処分をする事になります。なお、強制的に処分をする場合の費用は購入者の支払となり、その内訳は残置物の「撤去のための費用・運送業者の費用・執行当日の人手に掛かる費用・保管のための一時倉庫の費用」などになります。
対処法①「交渉」
まず、前所有者に内容証明郵便などで処分を要請します。連絡が取れる場合は、処分について承諾を取り、必ず書面にしましょう。内容としては、「引き取りの期限」と「期限までに引き取りがされない場合は購入者側で処分をする」こと記載します。
法的には、処分の費用は前所有者に請求することができますが、現実的には前所有者が撤去費用を出す資力が無いことがほとんどのため、処分費用を購入者が持つ事で円滑に進める事ができます。その他には、所有権を放棄するかわりに承諾料を支払ったりすることもあります。
対処法②「法的手段」
連絡が取れない場合や交渉によって処分ができない場合は、法的な手続きを取り強制的に処分することになります。流れとしては・・・
〇引き渡し命令の申立て
〇発令
〇引き渡しまたは明け渡しの強制執行の申立て
〇強制執行
〇保管
〇処分
となります。これらの手続きの費用はすべて、購入者の負担となります。
まとめ
競売で購入した倉庫の残置物の所有権と処分について書いてきました。競売の特性上、一般の不動産購入とは違い、前所有者によってすべてを搬出してからの物件の引き渡しとはならないため、その分のリスクが生じます。
しかし、一般の物件よりも安い価格で購入できることも競売の特性といえるでしょう。この特性をきちんと理解した上での検討が必要になりますが、判断が難しい場合は専門の業者などに相談することをお勧め致します。
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