不動産を市場価格より安く手に入れることができる競売は、その専門性から複雑な専門用語も多く難解です。今回は、全体の流れをつかんでいただけるよう、フロー形式で不動産競売の手続きについて解説していきます。
不動産競売手続きのフロー
競売の開始から物件の引渡しまで、その流れを説明しながら手続きについて解説していきます。
競売の申立て
債権者が競売の申立てを、対象不動産を管轄する地方裁判所におこないます。競売の申立てをする際には、差押えの権利を証明する公的文書をはじめとした多くの書類が必要となります。
差押え
債権を回収するために、債務者が自分の財産を処分していくことで債権者は債権の回収ができなくなるおそれがあります。したがって、強制執行をおこなう前に債務者が財産を処分できないようにしておく必要があります。
担保不動産競売手続き開始決定
競売手続きがはじまるのがこのタイミングです。不動産所有者のもとへ特別送達により通知が届きます。
不動産の現況調査について
裁判所から任命を受けた執行官、評価人などが競売物件にやってきて不動産の状況がどのようになっているのかの現状を調査します。この調査をおこなった結果をまとめた資料を3点セットと呼びます。
配当要求終期の公告
配当要求終期の公告とは、競売の申立てをすると、数日で裁判所は差押え登記をします。そして、その物件目録を公示し、競売申立債権者以外にも債権がある債権者に対して、執行裁判所に債権を有する旨を申し出てくださいという制度です。
期間入札決定の通知
入札がおこなわれる1~2ヶ月前ぐらいになると、期間入札の決定の通知書が、不動産所有者に届くことになります。
期間入札の公告
入札のおこなわれる1ヶ月ほど前から物件の情報が公開されることになります。
期間入札
期間入札とは裁判所が一定期間に入札者を募り、後日開札することです。入札期間は1週間以上1ヶ月以内の範囲で、各裁判所が定めます。入札の金額は特別な事情がない限り売却基準価額の80%としています。それ以上の金額であれば入札に参加することができます。
開札日当日
入札期間の約1週間後に入札の封を開け確認する作業をおこないます。
売却許可決定
落札者がその不動産を買い受けるのが適切かどうかを審査したうえで決定します。
代金納付
落札者が買受人に確定すると、買受人には代金の納付をします。納付すると裁判所は、法務局へ登記を嘱託し所有権移転がなされます。
物件の引渡し
物件の引渡しに同意をしない場合は、不法占拠とみなし強制的に退去させられてしまいます。
まとめ
不動産競売で入札が開始されるまで、早くて6ヶ月ほどの期間を有します。その期間、さまざまな手続きがありますが、入札参加者のとる手続きは「期間入札」の段階からになります。ご自身の希望に沿う物件を探すことができたら、代金の納付義務期間に間に合うよう入金が必要となりますので、あらかじめ、まとまった資金は必要となることもご確認ください。
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