競売物件を購入する際に、「保証金」や「残代金」を支払わなければなりません。今回は、競売物件を検討中の方におすすめしたい、審査に通れば金融機関から融資を受けることが出来る競売の「ローン制度」について説明していきます。
競売におけるローン制度について
「ローン制度」(民事執行法82条2項)とは、競売で一括納付が出来ない方のために、買受人が金融機関から融資を受けて裁判所に保証金などの代金を支払い、その融資額を金融機関にローンとして返済するという制度です。プロだけではなく、一般の方でも気軽に競売に参加出来る様に、平成10年の12月に法律が改正されました。所有権移転登記と担保権設定登記を同時に行うことが可能となる制度です。
ローン制度を利用する時の注意点について
金融機関の紹介は、裁判所では行っていません。そして、ローン制度の申請は、代金支払いの後には受け付けることが出来ないので、前もって申請する様にして下さい。それから、審査が通らない場合も想定して、入札に参加する様にして下さい。また、この制度を利用するには、専門家である司法書士か弁護士に指定代理人を依頼して届け出る様にして下さい。
手続きをする前にしておくべきことについて
まず入札準備の時に、ローンの利用についての相談を金融機関にしておきましょう。まだ落札が確定していない時は対応して頂ける所は少ないですが、入札する物件が融資の対象なのかどうかを調べることが出来ます。
売却許可決定について
融資を受ける審査は裁判所の売却許可が決定してから行われますが、開札期日よりも前に落札することが分かっている場合には、仮審査を行うことが可能です。売却許可決定日は開札期日の1週間後で、「売却許可決定謄本」で競売物件を購入する権利が証明されます。その書類に加えて、審査に必要な書類を提出することで、融資の審査を受けることが出来ます。
ローン制度の手続きに必要な書類について
抵当権の契約が成立したら、代金納付予定日の5日前までに次にあげる書類を競売係に提出して下さい。買受者と担保権者が連名で作成されている「申出書兼指定書」に印鑑登録証明書を添付したもの、「抵当権設定契約書」、買受人と金融機関が連名になっている「指定書」などです。
通常の代金の納付に必要な書類について
次のものをご用意下さい。買受人の住民票(法人の場合は資格証明書)、買受件の最新の不動産登記簿謄本、固定資産評価証明書(競売物件がある地域の役所にて「代金納付期限通知書」を提示すると取得可能です)、登録免許税、そして原則として522円+1082円の郵便切手などです。
融資を実行するには
余裕を持って「民事執行法82条2項」の規定による申出書を裁判所に提出しておきましょう。申出書の提出が遅れると、金融機関からの担保が受けられなくなってしまいます。審査から約3週間で実行されます。
代金の納付に必要な書類について
指定された代金納付期限までに、忘れずに裁判所に代金を納付しましょう。そして、振り込み済みの振り込み用紙と保管金提出書を裁判所に提出して下さい。その後、所有権移転登記に必要となる「嘱託書」が交付されます。その際には、本人確認可能な書類を提示して下さい。それから、嘱託書と抵当権設定の登記申請書を管轄法務局に提出しましょう。それから直ちに、届出書を裁判所に提出して下さい。
まとめ
自己資金は直ちに準備出来ないけれど競売物件を購入したいという方にとって、ローン制度はとてもありがたいものだと思います。金融機関から融資を受ける際には、手続きの手順や必要となる書類を事前に確認しておきましょう。
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