相続

相続放棄と遺産分割協議による財産放棄

親族などの死亡によって相続することになった財産を他の人に相続させるために自分は相続しないことを財産放棄といいます。財産放棄というと相続放棄をイメージする人が多いと思いますが、目的によっては相続放棄をする必要はありません。
ほとんどの場合は遺産分割協議のなかで財産放棄をすることで足りるのです。

LP_banner_02

相続放棄の効果
相続放棄は家庭裁判所に相続放棄を申述することで初めて法律的な効果を持つことになります。相続放棄を行うと相続放棄を行った相続人は最初から相続人ではなかったことになり、遺産に対する全ての権利を最初から有していなかったことになります。
例えば相続人の子供全員が相続放棄をしても相続人の財産を相続するのは配偶者だけということにはならず、相続権を有していた子供は最初から存在しなかったことになり相続人は配偶者と相続人の親ということになります。
相続人の親が相続放棄をすると次は被相続人の配偶者と兄弟姉妹が相続人となるのです。こうして法定相続人がいる限りにおいて相続権は移っていくことになります。しかし、遺産分割協議による財産放棄は相続放棄とは異なり、相続権は放棄していないことから前記のように相続権が移っていくことはありません。

遺産分割協議による財産放棄
遺産分割協議とは、相続人が全員で被相続人の財産の分割内容について合意が形成されるように協議を行うことです。この協議のなかで被相続人の財産を相続する意思がないことを表明し、それについて相続人全員の合意が形成されれば当該意思表示をした相続人は被相続人の財産の相続を放棄したことになります。
ここで重要なのは遺産分割協議での意思表示による放棄は相続権そのものを放棄した訳ではないことです。これによって遺産協議の中で新たに出てきた話にも柔軟に対応することが出来ます。
例えば被相続人の子供が数人いるケースで1人だけに被相続人の財産を相続させようとした場合に他の子供が相続放棄をすることで目的は達成できますが、後日、相続放棄をした子供が住む自宅が被相続人の名義になっていたことに気づいた場合には厄介なことになります。
相続放棄をしているため、自宅は相続することが出来なくなり相続人から贈与を受けるなどの方法を取らざるを得ず高い贈与税などを納税する必要が生じることになります。

負債超過ならば相続放棄
ほとんどの場合は相続放棄ではなく遺産分割協議で対応できるのですが、被相続人の財産よりも負債の方が大きいことが明らかな場合で、負債を相続したくない場合には相続放棄は有効な手段となります。
相続放棄は慎重に行うことが大切です。

LP_banner_02

ピックアップ記事

  1. 不動産売却の時に重要な登記費用について
  2. 賃貸経営を行うのに宅建の資格は必要?
  3. 競売における売却基準価額とは何か
  4. 後妻の子の相続における取り扱い
  5. 不動産の投資で不労所得生活を始めていくために考えること

関連記事

  1. 相続

    結婚と相続と財産分与

    結婚をすると夫婦は同一の姓を使うこととなり、法律的には同居義務が生じ、…

  2. 相続

    相続税における納税義務者の拡大

    相続税は改正が良く行われるために注意が必要です。平成27年の改正で…

  3. 相続

    相続を円満に進める方法

    相続による遺産分割を行う際に揉めてしまうことは良く聞く話です。しかし、…

  4. 相続

    相続不動産を売却した時の確定申告の対応

    相続した不動産を売却した場合の税金は、いろいろあるので順をおって説明し…

  5. 相続

    不動産を相続することになったけど、減価償却って?耐用年数って?

    急に資産を相続することになったけど、減価償却って?耐用年数って何? 初…

  6. 相続

    連れ子に対する相続問題はどうなる

    2017年度の婚姻件数は、約60万組みとなりますがその中の再婚率は約4…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 離婚と不動産

    離婚に際して、住宅物件の名義人側は勝手に家を売却できるのか?
  2. 賃貸オーナー様

    賃貸経営によって年収が増えることのジレンマ
  3. 不動産基礎知識

    競売代行の手数料について
  4. 離婚と不動産

    離婚後の家のローンについて、折半して対応すべきなのか?
  5. 任意売却

    任意売却する際の委任状の役割とは
PAGE TOP