家族に不幸があった際に、亡くなった方の財産を引き継ぐ(=相続)ことができますが、引き継がない(=相続放棄)といった選択も可能です。では、引き継ぐ資産ごとに取捨選択が可能かどうか、それ以外に別の相続方法があるのか見ていきましょう。
■相続はYESかNOの2択のみ
まず身内がなくなり生じるどんな相続の権利も、法律的には受け取るか否かのどちらかの1つを選択するしかありません。相続人が自分に都合のいい相続だけを行い、都合の悪い相続を放棄といった「取捨選択」のようにならないよう定められています。
■相続権を放棄する時点で相続人ではない
どういった相続が生じた案件も、法律が定めた原則では相続の放棄という措置を取るのは、「最初から相続人でない」として扱い、放棄した時点で相続権の全部、一部という問題でなく、相続権そのものが紛失という形になるのです。
ただし相続権を放棄せず、「全相続分の一部分だけ」を放棄と似た効果がある処置の方法が存在しますので以下で見ていきましょう。
①資産の一部を放棄するのを望む場合の処置=【限定承認】
自分にとってプラスとなる相続はしたいが、借金などのマイナス要素は避けて相続を行いたいという人は、この1つ目の限定承認をお勧めします。
「限定承認」は、相続の前にプラスの分とマイナスの分を打ち消し合い、その差がプラスの時にプラスの分だけ相続できるという方法です。これを行えば、借金の相続回避が可能になりますが、一方で特殊な相続方法なので相続権がある方の意見が揃い、且つこの方法を認めないと、事が全く進まず手続きが不可能ですので知っておきましょう。
②資産の一部を放棄するのを望む場合の処置 =【相続分の放棄】
この方法は、借金などのリスクがあまりにも多い時の最後の手段となります。手続きを申し込むと、手続きを行った相続人だけがいっさい相続を受けられなくなります。これは本来であれば相続するはずだった相続分を別の相続人に権利を渡すことになるからです。
簡単に言うと遺産を分ける話し合いで自分は相続を行いません。ただし、この特殊な方法を行っても財産に借金などリスクがあると注意が必要です。自分以外の相続人が借金等を返済しないと、放棄したにもかかわらず返済の義務が出て来る可能性が残ります。
■まとめ
上記で示したように財産の一部だけの相続を放棄するのは必ず出来ないので、まず相続権の有無を決断する事になります。それで確実に相続したいものと、借金の様なマイナス要素がある時は、上記の2通りを活用しそれでも借金に関わりたくないなら、初めの段階で放棄しその手続きを行うのをお勧めします。
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