法律上の債務とは、特定の人に対して金銭の支払いを行ったり、物を渡したりする法律上の義務のことを意味します。一般的には借金を返すべき義務として使われ、債務が借金などの意味で使われることが多くあります。
相続が発生した場合には、相続税の計算に際して被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から控除することが認められています。
遺産総額から控除することができる債務
被相続人が負っていた借入金や支払いの義務などのある金銭といった債務は、相続税の計算において遺産総額から控除することが原則認められていますが、債務であればどのような金額でも控除が認められている訳ではありません。
控除することができる債務は、被相続人が死亡した時に確実に存在していたことが認められる債務であることが必要です。すなわち曖昧なものや不確かなものは控除することができません。また、被相続人が保証人になっていた場合には、保証債務が発生することが確実であり、求償することができないものについては控除することができますが、別途求償することができるものは控除の対象となりません。
また、債務ではありませんがお通夜や、告別式など葬式に要する費用も遺産総額から控除することが認められています。生前に被相続人が購入した墓所の代金など非課税財産に係る未払金などは被相続人の債務であっても控除することが認められていませんので注意が必要です。
相続が発生した際にすべきこと
上記のように遺産総額から債務を控除することができるということは分かりましたが、控除できる債務にも条件があることも分かりました。
まず、相続が発生した場合に相続人がすべきことは、被相続人の財産を調べることです。資産と債務を計算して相続税の基礎となる金額を求めなければ相続が先に進まなくなります。
債務の調査は特に慎重に
相続が発生し、相続対象となる資産や債務が多くある場合には話はややこしくなりがちです。また、相続人としても相続の開始があったことを知ってから3カ月以内に相続放棄をするか、限定承認をするということを決めなければいけませんのでゆっくりもしていられません。
まずは債務の調査を最優先することをお勧めします。しかし、相続人が何も知らないのをいいことに架空の借金の返済を申し出る人もいるかもしれませんので、十分に注意をしましょう。契約書などの証拠となるものを確認しながら調査を進めなければいけません。
その結果、相続放棄以外を選んだ場合には、遺産分割協議などを進めていく必要があります。このとき不動産など分割しにくい財産については売却して換価という話にもなるものですが、このようなときには相続に詳しい不動産業者なども交えて相談されると円滑に進む可能性が高くなりますのでお勧めです。