住宅ローンを利用すると一定の条件を満たすことで住宅借入金等特別控除という税制上の優遇措置を受けることができます。
この制度は住宅ローン控除とも言われており、所得税額から定められた計算によって算出された金額を控除することが出来るという制度です。この住宅ローン控除を利用することで住民税も安くなるということはないのでしょうか。
住宅ローン控除は確定申告が必要
住宅ローン控除の適用を受けるためには、控除1年目となる年に確定申告を行う必要があります。住宅ローン控除による税制上の優遇措置は、新築又は取得の日から6カ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること等いくつかの条件を満たすことによって適用を受けることができます。
居住の用に供した年によって控除期間や控除限度額が異なりますが、平成26年1月1日以降に居住の用に供した方の場合であれば、年末における住宅ローンの残高の1%の額(上限40万円、長期優良住宅などでは50万円)が所得税から控除されますので大きな金額が還付されるケースが多い制度です。
この制度の適用を受けるためには1年目の控除を受ける年の確定申告が必要になります。住宅ローン控除は、所得税を控除するための制度であるため通常は住民税が安くなるということはありません。
住民税が安くなるケース
確定申告によって住民税が安くなるのは、課税所得が減額となる内容であることが原則です。例えば不動産投資で赤字が発生した場合には損益通算によって給与所得から不動産所得の赤字額が控除され課税所得が低くなるため所得税だけでなく住民税も安くなります。年末調整で行う生命保険料の控除なども同様です。
しかし、住宅ローン控除は所得税から直接控除する制度であるため基本的に住民税は関係がありません。しかし、住宅ローン控除による所得税の控除額は高額になるため所得税額によっては控除しきれないケースが発生することがあります。
このような場合には住民税を控除しきれなかった金額相当額分減額することになります。なお、平成26年1月1日以降に居住の用に供した方の場合では住民税の減額の上限は13.65万円となります。
特別な手続きは不要
住宅ローン控除の適用を受ける1年目には確定申告が必要となりますが、控除額が所得税を上回る場合であっても確定申告や年末調整の内容が税務署から市町村へ通知されるため住民税の減額のために何らかの手続きを行う必要はありません。
住宅ローン控除の金額が所得税を上回った場合には住民税が減額されているかどうかを住民税の課税決定通知書を確認するようにしましょう。