アパートやマンションなどで賃貸経営を行おうとしたら、当然ですが賃貸用のアパート、マンションを所有する必要があります。
アパートやマンションを所有するためには、中古で購入するか自分で建てる必要がありますが、自分で建てる場合にはいくらの建物にするか、すなわち建築費をいくらとするかは賃貸経営上重要なポイントとなります。
• 収益性と密接な関係
アパートやマンションの賃貸経営を行う目的は節税効果を得るため、老後の生活の資金とするため、資産を増やしたいため、という様に投資を行う人によって様々かと思います。しかし、共通して言えることは赤字の投資は行いたくない、という事でしょう。
賃貸経営の利益は獲得した家賃から賃貸経営に要した費用を控除した金額が利益となります。賃貸経営に要した費用には、維持管理に要する費用、固定資産税など色々な種類がありますが、減価償却費という費用が建築費に関係する費用となります。
• 減価償却費
減価償却費とは、建物や設備のような使用や時間の経過に応じて価値が減じていくと考えられる資産について、当該資産の取得費を取得時に費用化するのではなく、耐用年数に応じて費用配分することを言います。したがって賃貸経営におけるアパートやマンションを建築する場合には、建築に要した費用を耐用年数に応じて配分することになります。
このためアパートやマンションの建築費は完成時に支払いが完了していることから、減価償却費は計上する期において支出の伴わない費用と言われ、減価償却費の計上によって不動産所得に赤字が発生する場合、所得税が還付されることになるため節税となるのです。そして、当然ですが減価償却費は建築費が高額になるにつれて上がることになります。
• 建築費と家賃
減価償却費の計上によって不動産所得が赤字になるという事は、耐用年数の期間において家賃収入では建築費を賄うことが出来ないという事になります。
しかし、通常はアパートやマンションは耐用年数よりも長い期間運用しますので、トータルで回収できれば良いのです。しかし、賃貸経営上の観点からは建築費と獲得できる家賃とのバランスは大変重要です。獲得できる家賃に見合った建築費でなければ、家賃から建築費を賄うことは難しくなるためです。
例えば高級キッチンや内装を豪華にしてもそれが家賃に反映できない場合にはコスト倒れとなってしまいますし、建築費をあまりに安くしてしまうと賃貸のニーズを満たさず空室が多くなってしまったり、修繕費にコストが掛かりすぎたりしてしまう可能性があるためです。
新築のアパートやマンションを建てて賃貸経営を行う場合でも、獲得家賃を建築費で割った利回りを意識して建築費を検討することが重要です。