競売に関する事柄は、わかりにくいことが多々あります。不動産を競売するケースとしては、強制執行や担保権を実行する為に差押えが行われます。それに伴って、不動産の競売の為の差押えに対する「時効の中断」について紹介していきます。
■時効の中断についての内容
時効の中断には、取得時効や消滅時効に対して「法定中断」と「自然中断」が、共通しています。「法定中断」の中には
①請求
②差押え・仮差押え・仮処分
③承認
に対するものとしています。「時効の中断」は、事実状態に対して時効という期間の進行を妨げる事がらにおいて、時効の期間を振り出しに戻して中断する行為です。これに対して「時効の停止」は、停止する理由を完結させた後に「時効を延長」させる行為となっています。
■競売による差押え
差押えの効力が発生するには
①強制競売の決定を不動産所有者(債務者)へ通知された時
②差押えの登記のどちらか先に実行された時点
となっています。差押えの効力が決定すると、裁判所によって開始時期を債務者に対して通知します。
◎差押えの効力について
債務者が自分勝手に不動産を処分しないように権利を制限することです。なお、債務者が不動産に住むことには制限がほとんどありません。また、「時効の中断」や「根抵当権の元本確定」などの効果を持ちます。
◎差押えによる効力の範囲について
差押えの「処分制限」に対しては、効力の範囲についての問題点として、借地上の建物に対する差押えに関しては、借地権も範囲の対象になっています。買受人は建物の所有権と敷地利用権を取得する内容です。
■競売による差押えの消滅時効の中断
差押えによって時効の中断する効力が発生します。2020年4月より民法改正により「消滅時効」に対して時効の期間の変更があります。基本的に5年が時効期間となります。
①権利を行使できる時からは10年
②権利を行使できることを知った時点から5年
どちらか早い方が実行されます。債権者は権利を消滅させないようにする為に、対抗手段として消滅時効の手続を「中断」する行為が行われます。「請求」「差押えや仮処分」「承認」です。
・「請求」によって債務者(所有者)に対して勧告したにもかかわらず支払いがされない場合の裁判での権利行使です。
・「差押えや仮処分」強制執行などによっておこなわれます。
・「承認」では、債務者が一部の支払いをしたり支払いの猶予を求めた場合になります。
以上の事由によって、債権者は「消滅時効の中断」をすることができて、時効期間のリセットによって最初からの時効期間の効力があるのです。
■差押えによる「根抵当権の元本確定」
差押えには「時効の中断」と共に、「根抵当権の元本確定」ができます。根抵当権には上限金額の範囲内であれば、何回でもお金を借りることができますが、理由によっては元本を確定することができるのです。
これは、取引を中止しても元本の請求権が残る権利となっています。競売などにおいても債権者は「元本確定」の権利が残ります。
■まとめ
不動産の競売の為の差押えに対する「時効の中断」について紹介しました。債権者は時効の消滅をされないように、①請求②差押え・仮差押え・仮処分③承認などを行ってリセットする行為です。所有者(債務者)は、時効を待つのではなく、支払いの相談をおこなったり、「任意売却」の方法を考えた方が良いでしょう。
不動産のことに関して何か疑問やお困りごとがありましたら、お気軽に「アブローズ」までご相談ください。