競売では、ローンが組めないというのが一般的な認識ではないでしょうか?しかし、競売物件をローンで購入することができる制度があるのです。今回は、この制度についてご紹介していきたいと思います。
競売と一般的な物件の融資の違い
一般的な物件の購入には、ほとんどがローンを組んで購入することになります。その場合、金融機関での審査を受け、それが通れば融資を受けることができます。これは、競売のローンも同じですが、審査を受けるときに違いがあるのです。
一般的な物件の場合は、審査を受ける際に「ローン特約」を付けることができます。これは、万が一審査が通らなかった場合に、売買契約を破棄することができるというものです。しかし、競売にはこの特約がないので融資を受けられない場合でも、代金の支払(納付)をしなければなりません。代金が納付されない場合は、入札の際に支払った保証金は返還されず没収されてしまいます。
法律の改正
改正前は、落札後に代金を支払う場合は現金での一括払いが原則でした。このことから、競売に参加して物件の購入を行うのは、専門家やプロだけというのが実情でした。そこで、一般の人達がもっと競売に参加できるように、平成10年12月に法律が改正されました。
この法律は「民事執行法」に規定されており、「競売のローン制度」として実施されています。しかし、現在のところこの制度の認知度はとても低いといえます。そのため、制度を利用する人の少ないのが現状です。さらに、金融機関の貸し渋りなどもいわれているため、ローン制度を利用したいと考える人が必ず利用できるとは限らないのです。
制度の内容
一般的に不動産を購入する費用を融資する際は、名義の書換(所有権の移転)の登記と共に不動産に抵当権や根抵当権などを設定します。これは、融資を受ける人がお金を返済できなくなった時に、その不動産を競売し他の債権者よりも先に、弁済をうけるためのものです。移転と登記を同時にしなければ、他の債権者に担保権の設定や登記をされてしまう事があるからです。
しかし、競売物件の場合は裁判所の嘱託により登記がされるので、通常の手続きでは金融機関の担保権の設定と登記を同時にすることができません。そのため、融資を受ける人が裁判所に申出をして、指定をしてもらうことで「司法書士」や「弁護士」が裁判所の「所有権移転登記の嘱託申請書」を預かることができるのです。これによって、登記と設定が同時にできるので金融機関は融資が可能になります。
制度利用の流れ
①ローン制度を利用する場合は、上記でも述べたように「司法書士」や「弁護士」を指定代理人として裁判所に届出をします。
②金融機関へ、融資を受ける契約(ローンで代金を支払うという契約)とその融資の担保を競売で購入する物件に抵当権を設定します。
③契約が成立すると融資が可能になります。
④融資を受けた代金を納付します。
⑤納付と共に、所有権移転登記と銀行との抵当権の設定登記をするため、必要書類を裁判所に
提出します。(納付の5日前までに済ませる)
⑥代理人は受領した登記申請書を登記所に提出、登記手続きをします。
⑦登記が完了すると、名義は移転し抵当権も共になされます。
⑧これで終了となりますので、後は銀行にローンを支払っていくことになります。
まとめ
あまり知られていない制度となりますが、制度の内容をきちんと理解し上手に利用することができれば、高額な物件の購入も可能となります。
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