住宅ローンの滞納が続いた場合、やがては任意売却や競売で住宅を手放すことになるのが主です。しかし条件によっては、個人再生という手段を用いてローン支払いを継続し、マイホームの処分を免れることができます。その個人再生とはどのような制度なのか見ていきたいと思います。
個人再生とは
個人再生は、借金すなわち債務を減額してもらい、一定期間内に減額された額を分割返済する制度を指します。裁判所に手続き申請し認可を受けることで適用されることとなります。
住宅ローン滞納による個人再生は、住宅ローン特例に位置付けられています。申し出が裁判所に受理されれば減額された債務について再度ローン返済することにより、自宅を手放すことなくそのまま住み続けることができるわけです。
個人再生における借金の減額幅は、元の額の1/5~1/10となります。残りの借金の額など、ケースによって減額幅が変わることになります。借金残高が100万円以下の場合には残りについて支払い免除となる場合もあるでしょう。
個人再生が可能となる条件とデメリット
個人再生を用いれば、自宅を処分することなくローン残高を減らせることが可能です。しかしそれは、いかなるローン滞納のケースでも適用できるわけではありません。
裁判所の認可を受けるには、条件が必要となります。その条件を満たしていなければ、申請しても受理されることはないでしょう。
その条件に付いて、ケースによって細かく分類されますが、大まかなところを挙げれば以下の通りとなります。
◆個人再生適用を希望する物件が、債務者所有の住宅であり債務者自身が居住しているものであること。
◆該当物件に住宅ローン以外の抵当権がかかっていないこと。
(補足):抵当権とは、借金が返済されない場合その代わりとして他の物品を処分することができる権利、ありていに言えば借金のカタを取る権利です。住宅ローンを組む際には、資金の貸し手側に当たる金融機関が抵当権を持つこととなります。
つまりこの項目では、債務者の持ち家について、住宅ローン以外の借金で、借金のカタに取られないことが条件とされるわけです。
◆保証会社の代位弁済から6ヵ月経過していないこと。
(補足):ローンが履行されている間、返済先すなわち債権者は金融機関となります。しかし滞納が続くとその残金に対して保証会社が代わりに支払いを行い、それによって債権が保証会社に譲り渡されます。これを代位弁済と言います。
つまりこの項目では、債権者が保証会社に変更して6ヵ月未満であることが求められているわけです。
◆個人再生で減額された借金を返済することができる収入の見込みがあること。
個人再生を受けた場合、デメリットに相当するペナルティを負うことになります。
ケースによって様々ですが、主なところとしては国が発行する官報にその情報が記載されることでしょう。それに伴って、ローン契約など資金借り入れが極めて困難になるなど、弊害が生じます。
個人再生の分類
個人再生は、主に次の2通りに大別されます。
◆小規模個人再生
債務者が、個人事業者を含む一般個人である場合を対象とします。借金総額が5000万円以下の場合に限定され、債権者の同意が成立条件の1つとなります。債権者が複数の場合は、過半数以上の同意が必要です。
◆給与所得者再生
月々の給与など、安定した収入がある債務者を対象とします。給与から、税金や保険料などに当たる租税公課分と、必要最小限の生活費を差し引いた残りの額、すなわち可処分所得の2年分が適用後に納めるべき借金額となります。
まとめ
以上のように、住宅ローン支払い困難時における個人再生とは、残りの借金を減額しローンを継続することによって自宅の処分を回避する方法であること、ケースによって様々な条件があり、それらをクリアして裁判所の認可を得なければ適用されないこと、という内容をメインに確認してまいりました。
住宅ローン支払いが困難な状況において、継続的な収入の見込みがあり、月々の返済額を減らせればローン継続可能という場合、選択肢の1つと捉えて宜しいかと思われます。
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