競売では一般的な売買価格よりも相当安く物件を落札できるといわれています。しかし、割安な不動産であっても、競売で落札者が現れないことも無い訳ではありません。このような場合に競売に掛けられた不動産はどうなってしまうのでしょうか。
■競売が取消されるまで
不動産が競売に掛けられると、期間入札という方式の入札が行われます。開札の結果、落札者が決まらないということが時にあります。
原因には色々あると思いますが、最初の競売で落札者が現れない場合には、物件に付けられた買受可能価額が高かったという理由が多いです。1回目の期間入札で落札されなかった不動産は、特別売却という方式で売却されますが、買受可能価額は変わらないため初日で買受希望者が現れなければ、ここでも売れないということは良くあります。そうなると裁判所は、同じ不動産について3回目まで期間入札、特別売却を行います。
2回目、3回目と回を重ねる度に買受可能価額は見直されて低くなっていくのですが、それでも最後まで売れないということもあります。こうなると裁判所は、競売では売却できないと結論付けて競売の取消を行います。
■どのような場合に売れない?
競売に掛かった不動産が3回目の期間入札、特別売却でも売れないというのは、それでも価格が高いということもあるかもしれませんが、価格では解決できない問題点を持っているということも少なくありません。
例えば次のようなことがあると、売れないことが多くなります。
・土地の境界が全く不明でどこからどこまでが権利を取得できる不動産なのかが分からない。
・隣接地の所有者とトラブルが起こっている。
・そもそも需要がない。
・近隣の状況、周辺環境が悪い。
・土壌汚染があることが判明している。
など、落札金額が安くてもそれ以上に手間が掛かりそうな場合には売れないことが多いです。
■任意売却であれば売れる?
競売で最後まで売れないような不動産となると、任意売却であってもやはり売りにくい物件となります。しかし、全てが売れないという訳ではありません。任意売却には競売には無いものがあります。それは債務者すなわち所有者の明確な売却意思です。
債務者が所有している不動産について問題が解決するように努めた場合には、比較的多くの問題点がクリアになります。また、任意売却の専門業者の存在も大きな影響を与えます。競売の場合には買い手のニーズを全く考慮することはありませんが、任意売却では買い手のニーズに対応したり、債務者と業者が協力することで売りにくい不動産も売却できる可能性が高くなります。
もし、競売ではなく任意売却をご検討でしたら早めに業者に相談をしてみましょう。