相続税に係る税法の改正により相続税の課税対象となる相続が増えています。相続税というと税の対象となるのは被相続人が遺した現金だけでなく、住んでいる家などの不動産も相続税の課税対象となります。
マイホームの評価額によって相続税を納税することが出来ずに実際に住んでいる家を手放すしかないという事はあるのでしょうか。
相続税の納税が出来ないケース
平成27年から相続税が改正され、従来は相続税を納税する必要の無かった人に納税義務が発生するようになってきています。例えば夫が死亡し、相続人が妻と子供2人であった場合、遺産総額が8000万円までであれば相続税の申告は不要でしたが、平成27年からは4800万円を超えると相続税の納税義務が発生する事となります。
相続遺産が現金であれば、相続した現金から納税をすれば良いのですが、もし、遺産が不動産ばかりという事になると不動産を処分するなどして納税するために売却して現金化する必要が生じます。相続によって不動産を手放さなければいけなくなったという話を聞いたことがあるかもしれませんが、それは相続税を納税するためなのです。
もし、住んでいる家を相続することになったものの相続税が払えないという事になったら実際に住んでいる家を売却しなければならないのでしょうか。
相続税における自宅の扱い
不動産の価格上昇もあり、東京の都心部を始め住んでいる家が少し大きめの戸建住宅などですと、相続税の納税義務が発生してしまう状態になっている方もいらっしゃるかもしれません。住んでいる家を売却するとなると、引越もしなければいけませんし、思い入れのある家を手放すという辛い目にもあうことになります。
しかし、相続税では「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」という制度があり、この制度の適用によって住んでいる家を手放す必要が無くなるケースが多くあります。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例とは、被相続人と一緒に住んでいた家を相続した場合に土地について330㎡の大きさまで、その評価額を8割減ずることができるという特例です。配偶者は無条件でこの特例の適用を受ける事ができますが、子供の場合などは相続税の申告期限まで続けて住んでいることが必要となります。
この制度の趣旨は、相続によって住んでいる家を立ち退く必要が無いようにするためのものであるため、居宅として利用している事が要件となるのです。
なお、相続税の申告が条件となりますので、適用を受ける場合には忘れずに申告を行いましょう。