相続

株式の相続税における評価方法

相続が発生した場合に相続人は被相続人の所有していた財産について合計額を算出する必要があります。現金、預貯金であれば金額そのものが評価額になりますが、株式の場合はどのように評価するのでしょうか。

株式の取引
株式の評価といっても上場株式といって金融商品取引所で取引される株式と未公開株式のように取引相場の無い株式とがあります。金融商品取引所とは株式などを始めとする有価証券の売買取引を行うために必要となる市場を開設することを目的として設立された組織のことであり、金融商品取引法に基づいた組織です。
日本の国内には東証、大証、名証、ジャスダック、札証、福証の6つがあります。これらの金融商品取引所で扱われる上場した株式は取引によって成立した売買価格の情報が開示され、一日の最後には取引の終値が発表されます。また、株式は全てが上場して取引されている訳ではなく、非上場会社の株式のような取引相場の無い未公開株式もあります。

上場株式の評価
金融商品取引所に上場している株式の評価は、取引市場で成立した終値を使って行います。この終値のことを相続税の評価では最終価格といい、基本的には被相続人の死亡した日(課税時期といいます。)の最終価格をもって株式の評価額とします。
しかし、下記の3つの計算で求めた価格のうち課税時期の最終価格よりも低い価額があれば、最も低い価額をもって評価額とします。
1. 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
2. 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
3. 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
なお、金融商品取引所は1年中開場している訳ではありません。もし、課税時期が休場日となった場合には、課税時期に最も近い日の最終価格を、最も近い日が前日以前と翌日以降と同じである場合には双方の平均額を課税時期の評価額とします。

未公開株式の評価
未公開株式のように取引相場のない株式の場合には株式を発行した会社を総資産額などで大会社、中会社、小会社に区分して、次のように評価を行うのが原則です。

大会社
類似業種の株価を基にして、配当金額、利益金額、純資産価額を比準して評価します。

小会社
相続税の評価で洗い替えした会社の総資産の価額から負債を控除し、評価差額に対する法人税額を差し引いた残りの金額で評価します。

中会社
大会社と小会社の評価方法を併用して評価します。
また、上記の原則以外にも同族株主等以外の株主が取得した株式については、特例的な評価を適用することになります。
相続における株式の評価は難しい問題が多くありますので、信頼できる税理士にお願いするのがお勧めです。

ピックアップ記事

  1. 住宅ローンによる隠れ貧乏にならないために
  2. 後妻の子の相続における取り扱い
  3. 在宅ローンの老後破産リスクは任意売却で回避しよう
  4. 不動産売却における委任状取り扱い説明書
  5. 不動産の投資で不労所得生活を始めていくために考えること

関連記事

  1. 相続

    相続不動産を売却した時の確定申告の対応

    相続した不動産を売却した場合の税金は、いろいろあるので順をおって説明し…

  2. 相続

    遺言による不動産の売却

    相続において被相続人が自らの意思を明確に伝え、実行させるために遺言を残…

  3. 相続

    相続税と譲渡所得による所得税について

    相続した不動産を売却して利益が出た場合には、譲渡所得に基づく所得税が課…

  4. 相続

    相続人である妻が気を付けるべきポイント

    婚姻関係にある相手のことを配偶者といいますが、相続が発生したとき、民法…

  5. 相続

    相続の一部放棄はできないってホント⁉

    家族に不幸があった際に、亡くなった方の財産を引き継ぐ(=相続)ことがで…

  6. 相続

    相続における債務の取扱いについて

    法律上の債務とは、特定の人に対して金銭の支払いを行ったり、物を渡したり…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 任意売却

    競売における売却決定期日が持つ意味
  2. 不動産基礎知識

    家を売却するときの手続きに必要な書類と取得方法について
  3. いろいろ

    競売落札後の明け渡し交渉
  4. 任意売却

    任意売却の抵当権者による同意
  5. 任意売却

    競売での売れ残りは最後はどうなるのか
PAGE TOP