相続が発生した場合には、相続税を納税する必要があるかどうかを調べるために全ての遺産の評価を行わなければなりません。
しかし、相続が発生するまでの期間について被相続人には納税すべき所得税などの税金が発生している事もあります。この税金については相続税とは別に準確定申告を行って所得税を納める必要がありますが、この準確定申告とはどのようなものなのでしょうか。
準確定申告とは何か
一般の会社員であれば、会社によって行われる年末調整で税金が確定することから確定申告は不要ですが、個人で事業を営んでいた方や2000万円を超える給与収入のある方、副収入として20万円を超える所得があった方の場合などでは確定申告を行う必要があります。
被相続人が上記のような確定申告を行う必要がある方であった場合には、確定申告を行わなければ所得税額が決まりません。この確定申告を行うのは納税者本人が原則ですが、相続が発生する場合には納税者本人が死亡しているため法定相続人、包括受遺者といって遺言などにより遺産を相続することになっている者に申告を行う義務が生じます。
これらの者が被相続人に代わって行う確定申告を準確定申告といいます。
準確定申告の注意点
準確定申告は基本的には通常の確定申告と同じですが、注意点がいくつかあります。まず、確定申告の対象となる期間は相続人が亡くなった年の1月1日から死亡日までとなります。また、前年の確定申告が完了するまでに亡くなった場合には前年の確定申告も準確定申告で併せて行う必要があることに注意しましょう。
この準確定申告には所定の書類はありませんので、通常の確定申告の書類に「準」の文字を書き加えて申告を行うことになります。申告先についても相続人の住所地ではなく、被相続人の住所地の管轄税務署となることにも注意が必要です。
申告期限と納付期限
準確定申告の期限は、相続開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内です。この期限は申告だけでなく所得税の納付の期限でもあります。この期限に遅れると所得税についての延滞税が加算されてしまいます。
しかし、相続人が普段から確定申告を行っていない場合には申告書類を作ることだけでも大変な作業となりますし、申告は相続人全員で行う必要があるなど事前に知っておかなければ準備が進まないこともあります。
また、相続が発生してからの4カ月の間には葬儀や49日の法要を始め相続税の申告のための準備にも追われることとなりますので、もし、自信がなければ最初から相続税に強い税理士などに相続税と併せて所得税の申告についてもお願いしておくことをお勧めします。