長期で住宅ローンの返済を行っていると、その期間中にマイホームを売却してしまいたいと考えることもあるかと思います。
しかし、住宅ローンの残っている家には抵当権が設定されており、抵当権を解除しなければ基本的に売却は困難です。このため売却完了までに残債の一括返済をして抵当権を消除する必要がありますが、一括返済のメリットとデメリットには何があるでしょうか。
■住宅ローン一括返済のメリット
住宅ローンを一括返済することのメリットは、何よりも今後支払う予定であった金利相当額を支払う必要が無くなることです。この利息相当額は、残債が大きければ大きいほど、残りの返済期間が長ければ長いほど大きな金額となります。
また、住宅ローン利用の際に保証料を一括前払いで支払っている場合には、一括返済に対応する金額が戻ってきます。そして一括返済をすることで返済が完了し、返済をし続けるという精神的な負担から解放されます。
■住宅ローン一括返済のデメリット
一括返済を行うことのデメリットとしては、手持ちのお金が少なくなることです。急にまとまったお金が必要になったときのためにもある程度は残しておいたほうが良いでしょう。
また、特に低金利のときにあるのですが、資金を他で投資運用することで金利以上の利回りが得られるのであれば、一括返済することは損になるといえます。住宅ローン利用の際に団体信用生命保険や火災保険などに加入していた場合には、これらの補償の対象から外れることになるため、必要な保険に再加入する必要が出てきます。
そして金融機関や返済条件によっても変わりますが繰り上げ返済となりますので、手数料が発生します。残債の額によっては手数料のほうが高くなることがありますので注意が必要です。
■メリットとデメリットは裏腹
繰り上げによる一括返済のメリットとデメリットは結局のところ裏腹の関係にあり、期間の利益という返済猶予をどう考えるかで変わってきます。発生する費用の比較は一括返済と分割返済とでシミュレーションすることで可能ですが、どちらが有利ということは一概には決められません。
しかし、やむを得ずローン中のマイホームを売却せざるを得ない場合には、選択の余地はありませんが、そうでなければ上記のメリットとデメリットは知ったうえで判断を下す必要があるでしょう。
■残債のあるマイホームを売却
売却完了までに一括返済できない場合には、原則マイホームの売却をすることはできません。しかし、条件によっては任意売却という方法を選択することで売却をすることが可能になるケースがあります。
任意売却は強制競売と異なり、一般の売買市場と同じ価格水準で売却することができます。もし、ローン中のマイホームの売却でお悩みでしたら任意売却の専門家にも相談をされてみることをお勧めします。解決策が見つかるかもしれません。