競売による不動産購入には、何かしら問題の発生が予想されます。競売物件を落札した後も前居住者が立ち退きを行わず居座ったまま、というケースもその一つでしょう。このような事態に直面した場合、どのように対処していけばよろしいのでしょうか。確認していきたいと思います。
占有者問題が起こる背景
競売物件の魅力は、通常の不動産評価額より安価に購入できるケースが多いという点でしょう。しかしそれは、何らかの問題が起こりうるからこその安さと言えるかも知れません。落札後も立ち退くことなく居住し続ける占有者についても、想定される問題点の一つです。なぜこのような問題が起きてしまうのか、競売の仕組みについて踏まえつつ考えてみましょう。
不動産競売の仕組み
債務者が抵当権を持つ債権者に借金を返済できなくなった時、債権者側の申し出に応じて裁判所は、抵当にかかった債務者所有の土地や建物を差し押さえ、これを現金化して債権者側に渡します。
その際の現金化に用いられる方法が競売です。すなわち、裁判所は差し押さえた物件について購入希望者を募り、これに応じた希望者は入札によって各々希望購入価格を提示します。それら提示された価格の中で最も高値をつけた落札者が、その価格で物件を購入することとなるわけです。
占有者側の視点
上記が示す通り、不動産競売においては差し押さえから落札に至るまで、前所有者である債務者の意思が介在しないまま手続きが進められることとなります。言わば占有者側からすればある日突然立ち退きを要求されることになるわけです。
そう言った所に、占有者問題が発生してしまう要因があるように思われます。占有者には、不動産の前所有者である債務者との賃貸契約によって居住していたというケースもあり、この場合では、尚更寝耳に水といった感じが強まることでしょう。
立ち退き要求の進め方
では、競売物件の落札者すなわち買受人からの立場としては、占有者にどう対処していけばいいのでしょうか。
法的手続きとしては、まず裁判所に不動産引渡命令を出してもらうための申し立てを行います。これにより、落札物件の居住者に立ち退きを通知することとなります。
引渡命令が出るまでに約2週間かかり、その後占有者を落札物件から強制的に退去させることを認める強制執行の申し立てが可能となります。その申し立てから約2週間後に、裁判所から占有者に強制執行の実施日を告げる催告が行われます。その際に告げられる期日は、約1カ月後です。その期日に至っても出払っていなければ、強制執行が断行されることとなります。
強制執行にかかる費用は本来、前所有者である債務者に請求されるものなのですが、元々差し押さえを受ける程の経済状況にあることから、支払い不可能であることでしょう。そのため実際には、費用は買受人側の負担となります。
立ち退きを法的に進めた場合上記のような流れとなりますが、最終的な強制執行断行まで至った場合、買受人側に費用的または心理的負担が及んでしまうことでしょう。
そのため、法的手続きを進めつつ占有者側に円満な立ち退きを求める交渉が重要と言えます。しかしながら、買受人自身が交渉に当たるのはなかなか困難です。このような場合、競売に精通した不動産会社など、専門家からサポートやアドバイスを受ける体勢が整っていればスムーズに話がまとまる可能性が高まることでしょう。
まとめ
以上のように、競売物件購入後占有者が立ち退かないケースについて、不動産競売の流れや占有者側の視点を踏まえながら、対処法として不動産引渡命令から強制執行断行に至る法的手続きと、占有者側との交渉があることを見てきました。
占有者問題のみならず、競売物件購入にはさまざまなトラブルが予想されます。競売参加を検討する際には、不動産会等その分野に精通した専門家の全面的バックアップを得ることが不可欠化と言えるのではないでしょうか。
競売に関する事や不動産の事なら全ておまかせ、ご相談も「アブローズ」までご一報を下さい。