不動産基礎知識

競売の申立てを取り下げてもらうためには

住宅ローンの滞納を続けていると、債権者から督促状や催告書の送付を受けることとなります。それでも対応せずに放っておくと債権者は裁判所に競売の申立てを行い、裁判所から競売開始決定通知が送られてくることになります。この通知が来てしまったら、もう競売の実行を回避することはできないのでしょうか。

LP_banner_02

競売の取り下げ
競売の開始決定通知が送られてきてしまったら、競売の実行を待つしか選択肢が無いかというと決してそんなことはありません。競売を取り下げて貰うことができれば、競売の手続きは取り下げが受理された時点で終了し、差し押さえが解除されることになります。この競売の取り下げですが、競売を申立てた債権者自身が申立てを行った裁判所に取り下げ書を提出することが必要となります。
したがって競売を取り下げるためには、債権者の協力が必要不可欠なのですが、競売の申立てがなされたということは、債権者と債務者の関係はこじれていることもおおく、この点においてハードルは高いといえるかもしれません。
また、差押登記の抹消が必要となるため、当該手続きのための登録免許税を納める必要があります。したがって取り下げは無料で出来る訳でもありません。

競売の取り下げの期限
競売の取り下げはいつでもできるという訳ではありません。競売の申立てを行った債権者が単独で取下げられるのは、開札期日に最高価買受申出人が決まるまでとなります。
実際は手続き的なこともありますので、開札日前日までに取り下げるのが安全です。
最高価買受申出人が決定した後の取り下げとなると最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意が必要となります。ここまで来ると買受人らの同意を得ることも難しいケースも多く、取り下げは難しくなります。実質的な取り下げの期限は開札日前日と考えたほうが良いでしょう。
なお、買受人が落札代金を納付してしまった後は、所有権が移転してしまうため競売の申立て取り下げは出来なくなります。

競売を取り下げて貰うには
競売の申立てを取り下げて貰うためには、債権者に取り下げをしても良いと思って貰う必要があります。競売の申立てをされてしまったということは、債権者との関係は決して良好とは言い難い状態だと考えられますので、とにかく債権者の心証を良くしなければいけません。
もちろん債権者が提示する競売を取り下げるための条件に応じられることは必要となりますが、誠意をもって、これまでの対応に非があれば十分に詫びてから取り下げのお願いや取り下げの条件の交渉をするようにしましょう。

LP_banner_02

ピックアップ記事

  1. マイホームを手放すことになってしまったら
  2. 在宅ローンの老後破産リスクは任意売却で回避しよう
  3. 賃貸不動産の経営管理を安易に考えてはいけません!
  4. 不動産の売却に年齢制限はある?
  5. 住宅ローンによる隠れ貧乏にならないために

関連記事

  1. 不動産基礎知識

    賃貸経営への考え方が利益率に影響を及ぼす

    歴史的な低金利が続き、資金調達の環境が良好になったことから賃貸用のアパ…

  2. 不動産基礎知識

    共有者がいる物件で共有分割訴訟が起こった場合、発生し得る競売について

    一つの物件に複数の共有者がいる場合、共有分割訴訟という事態が起こりうる…

  3. 不動産基礎知識

    競売物件の買い方を知る!

    銀行などの借入金が返済できなくなると裁判所に申し立てがなされ、差し押さ…

  4. 不動産基礎知識

    請求書と督促状の違いは何か

    商品を納める際に商品と一緒に請求書を納品先に渡すことがあります。請…

  5. 不動産基礎知識

    不動産投資と支払うべき税金の確認と節税

    他の投資に比べると比較的安定した収入が見込める不動産投資ですが、税金の…

  6. 不動産基礎知識

    住宅ローンが残っている家を売却し、プラスの利益を得られるケースとは

    住宅ローンで家を購入したものの、生活環境の変化などによって、ローン返済…

おすすめ記事

おすすめ記事2

特集記事

アーカイブ

  1. 離婚と不動産

    離婚した時の家の売却 競売か任意売却か
  2. 不動産基礎知識

    住宅ローンによる借入に勤続年数はどれだけ影響するか?
  3. 債務整理

    競落人に預託金(敷金・保証金等)の承継はあるのか?
  4. 不動産基礎知識

    問題になっているマンション管理に関するニュース
  5. 相続

    相続時に名義変更をしないとどうなる?
PAGE TOP