人が亡くなると、その人が保有している財産は遺産となり相続されることになります。遺言書が作成されていれば、その内容に従って遺産は相続されることになりますが、遺言書が無い場合には、法律に定める形で相続が行われます。
法律では配偶者は常に相続人となりますが、配偶者なしの場合にはどのように相続が行われることになるのでしょうか。
法で定められた相続
民法第五編で相続について定められています。法の定めが無ければ、不慮の事故などによって死亡してしまった場合、その死亡した人の財産は誰のものになるのか不明となってしまいます。こうなると、法で定めがあっても争いが起こり易い相続問題に拍車を掛けることになってしまいます。
したがって民法は誰が相続人になるかだけでなく、誰がどれだけの割合を相続するかまで定めているのです。遺言書があれば、遺言書にしたがって相続が行われますが、遺言書が無ければ法律で定められた相続人(法定相続人)が法で定められた割合(法定相続分)を相続することになるのです。
法によって相続人となる親族の範囲と優先順位が定められていますが、民法第890条によって「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。」と定められています。
配偶者なしの場合の相続
配偶者とは婚姻の相手のことを意味します。夫にとっては妻が配偶者であり、妻にとっては夫が配偶者です。したがって配偶者なしとは、婚姻関係にある相手が存在しないという状態のことであり、未婚の人は勿論、離婚をした者、配偶者が既に亡くなってしまっている人も含むほか、婚姻関係のない内縁の夫又は妻がいても配偶者なしの状態となります。
このような場合における法定相続人は、①子供、②親、③兄弟姉妹となります。
優先順位と法定相続分
まずは子供がいれば、子供が相続人となります。婚姻による子供はそれぞれ等分に遺産を相続します。婚姻によらない子供は、婚姻による子供の2分の1を相続することができます。
子供が亡くなっているが、その子供の子供(被相続人の孫)がいる場合には代わって相続することができ、これを代襲相続と呼びます。子供については何代でも代襲相続することが認められています。
もし、子供がいなければ親が相続人となります。親が既に亡くなっているが、親の親(被相続人の祖父母)がいる場合には代襲相続が認められており、被相続人の祖父母が亡くなっており曾祖父母がいる場合には同様に代襲相続が認められます。
子供も親もいないとなると兄弟姉妹が相続人となりますが、兄弟姉妹が既に亡くなっており、その子供(被相続人の甥・姪)がいる場合には、その子供まで代襲相続が認められます。
このように民法は細かく相続人と相続分を定めていますので、遺言書が無い場合にはまず誰が法定相続人に該当し、法定相続分の確認をするようにしましょう。