住宅ローンやカードローンなどの返済を滞納していると、やがて財産を差押えられてしまい競売などに掛けられて強制的に売却されて換価されたり、給料を差押えられたりすることになりますが、税金の滞納によっても国税徴収法、地方税法などを根拠法令として給料などを差押えられることがあります。
この税金滞納による差押えは、債務整理によって解除できたり、帳消しにしたりすることができるのでしょうか。
債務整理とは何か
多額の借金を背負ってしまって返済を続けようにも続けられない状態になってしまったとき、債務者を救済するために法律で定められた手続きに債務整理という方法があります。
債務整理に定められた借金の整理方法には、「任意整理」、「民事再生(個人再生)」、「自己破産」の3つがあります。それぞれに特徴がありますが、法的に借金の見直し、整理を行って、借金を減らしたり、帳消しにしたりすることで借金に苦しんでいる人を救済することが共通した目的です。
この債務整理の方法のうち、「民事再生(個人再生)」または「自己破産」を行うと、「強制執行停止の申立」によって給与などの差押えを解除させることができます。しかし、一番簡単に取り組むことができる任意整理では差押えを解除することができませんので注意が必要です。
ところで税金の滞納による差押えであっても、債務整理を行うことで解除することが可能なのでしょうか。
税金の滞納は解除不可
多額の借金に苦しんでいるとカードローンなどの民間の借金返済だけでなく、固定資産税などの税金の支払いも苦しくなってきます。民間業者からの借金は、抵当権等の担保権の設定が無い場合には、債務名義の裁判が行われ、財産の差押えが行われます。しかし、税金の滞納の場合には、根拠法令が異なるため裁判不要で財産を差押えることが可能です。
そして税金滞納による差押えは、「民事再生(個人再生)」または「自己破産」による「強制執行停止の申立」では、解除することができません。
税金滞納には十分な注意が必要
税金の滞納によって、いったん差押えをされてしまうと、それを解除するのは民間の差押えと異なり、なかなか難しいです。税金の滞納による差押えがあると再生計画の履行可能性が疑問視されるため、「民事再生(個人再生)」の再生計画が認可されないこともあります。
もし、今後債務整理を行うことを考えているのでしたら、債務整理実行の妨げになることの無いように、税金滞納による差押え予告書などの通知を受けた場合には、誠意をもって対応し、分割払いなどで支払う意思などをみせて差押えを回避することが大切です。