債務整理の自己破産と個人再生の件数は平成18年には合計で20万件を超えていましたが、年を追うにつれて減少していき平成27年には8万件程度となりました。半分以下にまで減ったのですが、個人再生のうち小規模個人再生は平成27年には増加に転じ、平成28年の速報によると減少を続けていた自己破産も増加に転じたと言われています。
この件数の推移について考えてみたいと思います。
減少の傾向にあった債務整理
債務整理のうち任意整理については、裁判所を介するものではないため記録がなく、どれだけの数が行われているのかは掴むことが出来ません。しかし、自己破産や個人再生の減少幅が大きいことを考えると、過払い請求が盛んに行われていることなどから、従来は自己破産や個人再生を選択していた人達の多くが任意整理で問題が解決したというケースが増えているのではないかと考えられます。
また、近年では景気が上向きになってきていることも理由のひとつでしょう。しかし、平成20年に起こったリーマンショックによる不況下でも件数は減少を続けていましたら、強い関連性は無いとも考えられます。
最も主な要因は消費者金融を始めとした貸金業者による貸付金額が減少したことではないでしょうか。
貸金業者も平成18年以降は減少を続けています。2010年には貸金業法が改正され総量規制も行われたため貸金業者は増々厳しい状況です。貸付が少なくなれば、借金に苦しみ自己破産や個人再生を行う人が減少するのは道理だと考えられます。
平成28年の自己破産件数の増加
しかし、債務整理について平成27年には個人再生が反転増加し、速報ベースでは平成28年には減少を続けてきた自己破産件数が増加に転じたと言われています。この主要因はどこにあるのでしょうか。
貸金業者は減少してきた反面、銀行がカードローンの利用を推進しております。このカードローンの利用によって、多重債務に陥ってしまい自己破産に至っている人が増えているのではないでしょうか。
消費者金融と違い、銀行のカードローンとなると耳障りも良いためについつい借金を重ねてしまうというケースが多いと聞きます。銀行は貸金業法の規制の対象でないために総量規制も関係が無いところもポイントです。
結局自分の身は自分で守る
安易にお金が借りられてしまうと、何かあったときについつい利用してしまうものです。最初は少額でも慣れてくると、借入金額が高額になっていき、自転車操業となり、やがては返済が出来なくなってしまうケースが散見されます。
債務整理でも任意整理で話がまとまればまだ良いのかもしれませんが、自己破産となると不利益も多くありますので安易な借り入れは極力しないようにしたものです。