住宅ローンの滞納を続けてしまうと、やがて債務者は不動産執行手続の申立てを行い、「担保不動産競売開始決定通知」が裁判所から送られてくることになります。この通知を受け取って初めて事の重大さに気づく債務者もいらっしゃいます。この通知は何を意味し、どのような対応ができるのでしょうか。
■競売の申立てとは
競売の申立てとは、債務者の債権の回収をするために財産を換価することを目的に、裁判所に対して債権者が売却を申し立てることをいいます。住宅ローンの滞納の場合には、通常、マイホームである土地建物に抵当権などの担保権が設定されているため、債権者が当該担保権の実行手続きに入ったということになります。
競売開始決定通知を受け取ったときに、初めて債権者が競売の申立てを行っていたことを知る債務者も多くいます。債権者は競売による売却価格が一般市場での売買と比較して低廉な価格になることを知っていますから、本来は避けたい手続きだと思っています。しかし、数多くの融資物件を取り扱う金融機関などがひとつひとつの物件を売却していく訳にもいきませんので、最後の手段として裁判所へ競売の申立てを行ったということなのです。
■競売開始決定通知を受け取ったら
競売開始決定通知が送付されてくるということは、債権者によって既に競売の申立て済みということですから何もしなければそのまま競売の手続きが進んでいくことになります。それもひとつの対応ですが、もし、競売による売却を回避したいと思ったらどうすれば良いのでしょうか。
まずは、債権者に競売の取り下げをお願いすることになりますが、債権者も費用と手間をかけて競売の申立てを行っていますし、最後の手段を取るまでに債権者と債務者との信頼関係も崩れていますので簡単に応じてはくれません。取り下げを認めてもらうためには、競売の実行よりも債権者にメリットがあることを示す必要があります。
■競売の申立て後の対応
マイホームを手放さないようにするためには、ローンの残債と延滞料金を含めて一括で債権者に返済をして取り下げてもらうという方法があります。競売の申立て後に金策に走った結果、親からの援助などによって工面が出来たというケースはよくあります。
競売よりも高値で売却できる可能性がある任意売却によって得られた売買代金を返済に充当し、残債は別途分割で返済する条件で取り下げの交渉をする方法もあります。任意売却であれば、債権者も競売よりは回収できる金額も高くなる可能性がありますので前向きに検討をしてくれるはずです。
いずれにせよ競売の申立てがあってからは期間入札の開札日前日までが取り下げの期間となりますので、競売を避けたいと思うのであれば迅速な対応をしていかなければいけません。