一般価格より割安な競売物件を手に入れたいという方は多くいると思います。しかし、その物件が賃貸物件であった場合、少しばかり注意が必要になります。なぜかと言うと、賃貸物件には住人がいる場合が多く、立ち退き交渉をしなければならないケースもあるからです。その際の注意点をご紹介していきたいと思います。
落札後の競売手続きの流れ
買受人(落札した人)が物件の代金を納付しますと、物件の所有権移転の手続きが始まります。通常ですと居住者は立ち退きを迫られますが、賃借人(賃貸で住んでいる人)の場合には、6ヶ月の明渡猶予が認められております。賃借人保護の目的でこの制度が作られました。
賃借人を保護する制度【現行法】
賃借人を保護する制度として始めに挙げられるのが「6ヶ月の明渡猶予」です。しかしこれには条件があり、賃貸契約が「競売開始決定」よりも前になされている事が必要条件になります。
もし仮に賃貸契約が「競売開始決定」よりも後になされていた場合、猶予期間はありません。すぐに立ち退かなければならないという事です。
賃借人を保護する制度として次に挙げられるのは、「抵当権等の設定」より前に結ばれた賃貸契約であった場合は、賃借人は賃貸契約満了まで住み続ける事ができるという事です。つまり、「6ヶ月の明渡猶予期間」を超えても契約満了まで住み続けられるという事です。
この場合は抵当権等よりも賃借権が優先されるというわけです。
しかし、「抵当権等の設定」より後の契約であれば「6ヶ月の明渡猶予」が適用され、物件の所有権取得のための代金納付より6ヶ月後には明渡しを求める事ができるというわけです。
平成16年の法改正の注意点
平成16年4月1日から短期賃貸借の保護の制度が廃止されました。現在でもその影響が残る事も想定されるので注意点を説明したいと思います。
ここで注意しておきたいのが、現行法との違いは何かという事です。
違いがあるのは「賃借人を保護する制度【現行法】」で取り上げた、『抵当権等の設定』よりも後の賃貸契約の場合です。
先述したように、現行法ではこの場合、賃借権よりも抵当権等が優先され「6ヶ月の明渡猶予」が適用されます。
しかし、平成16年4月1日以前では、この場合、抵当権等よりも賃借権が優先されてしまい、賃貸契約満了まで住み続ける事が可能となっています。(期間満了後は明渡しを求める事ができる)
平成16年4月1日の短期賃貸借制度の廃止により、買受人(落札した人)の権利が優先されるようになりました。
まとめ
競売物件の立ち退きについてご紹介してきましたが、現行法でも「抵当権等の設定」よりも前の賃貸契約であった場合は、スムーズな立ち退き交渉は難しいと言えるでしょう。平成16年の法改正により若干ですが買受人(落札した人)の権利が優先されるようになったものの、賃貸目的の競売物件を求めている方は難しい立ち退き交渉の事を考えると、やはり専門の業者に依頼する事をお勧めします。
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