今ではマンションは至る所に建設され多くの方が住んでいます。また、不動産投資でも賃貸用マンションを購入して運用することがブームになっています。
不動産投資ではマンションの購入代金は購入時に全て費用化するものではありません。使用に応じて費用化されるという考え方に基づき費用配分が行われます。この費用配分を行うのに法定耐用年数が利用されるのですが、この法定耐用年数とはどのようなものなのでしょうか。
耐用年数とは
一般的にマンションを始め「物」は時の経過とともに価値が減じていくものです。この考え方に基づきマンション経営による収支の計算では使用に応じてマンションの価値を費用化していきます。
つまり、マンションは購入したときは購入代金相当の価値がある資産を所有している事となり、時間の経過に伴って購入代金に相当していた価値が減っていく事となります。この考え方を適用する資産を減価償却資産といいます。ちなみに土地は価値が減じないと考えられるため減価償却資産ではありません。
この価値を減じる期間は減価償却資産が使用に耐え得る期間であり、この期間のことを耐用年数といいます。そして法律で定められている期間が法定耐用年数です。
なぜ法定耐用年数があるのか
実際に減価償却される資産がどれだけの期間の使用に耐え得るのかは、資産の性能や使用状況、メンテナンスなどによって大きく変わります。したがって耐用年数は個々の資産によって異なるものであり、本来であればマンションの耐用年数も合理的に見積もって算定すべきものだといえます。
しかし、期間配分する費用を算定する際には法定耐用年数を用いることが一般的です。この法定耐用年数を用いれば、わざわざ耐用年数を見積もる必要がなくなるためです。
また、所得税を徴収する側にとっても税の公平性を保つことができるという利点もあります。もし、自由に耐用年数を定めることができ、その年数に基づいてマンションの購入代金を費用化できるとすると、費用を多くして利益を減らしたい場合には耐用年数を短くすることで利益操作が出来てしまうためです。
法定耐用年数の調べ方
法定耐用年数は、恣意性を排除するために「資産の種類」、「構造」、「用途」によって細かく分類されています。税法では減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一で建物の耐用年数を定めています。
ここで定められている年数が法定耐用年数と言われるものです。法定耐用年数は、マンションの鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などの構造に応じて決められており、給排水・衛生設備、ガス設備などの建物附属設備についても法定耐用年数が定められています。
減価償却費の算定にはこれらの法定耐用年数が用いられることになります。