不動産投資ブームによって賃貸用マンションなどを購入して賃貸経営を行う方が増えてきました。
この背景として日本銀行による大規模金融緩和によって歴史的な低金利下にあることから資金調達環境が良好な状況にあることがあります。
しかし、資金調達環境が良好だからといって借入を増やし過ぎてしまうと返済に行き詰ることがありますので、自己資金と借入とのバランスが重要となります。
フルローンとオーバーローン
賃貸経営を行いたいという不動産投資熱の高まりと共に大規模金融緩和によって低金利が続くなか、出来る限り融資の割合を増やしたい投資家と出来る限り多くの融資額を出したいという金融機関の思惑が一致し、フルローンやオーバーローンによる融資が行われるケースがあります。
フルローンとは投資対象となる不動産の購入金額について全額を金融機関から融資を受けることを言います。
しかし、賃貸経営を行うための投資用不動産の購入には不動産自体の購入費用とは別に諸費用と呼ばれる媒介報酬や登記費用などが発生します。
これらの諸費用を投資用不動産の購入費用に含めて融資を受けることをオーバーローンといいます。
このようなフルローンやオーバーローンで融資を受けると自己資金の負担を少なくして賃貸経営を始めることが出来るというメリットがあるほか、所有する自己資金を他の資産運用に回すことができるというメリットもあります。
自己資金を少なくするリスク
投資不動産の購入に際して自己資金の負担を少なくして賃貸経営を始めることには上記のようなメリットはありますが、リスクも大きくなります。
例えばオーバーローンを受けられるのであれば賃貸経営を始めるための自己資金は全く必要が無くなりますので、新たに別の投資用不動産を購入して急速に資産を拡大することも可能となります。
しかし、オーバーローンやフルローンを受けられたとしても通常の不動産投資ローンよりも金利が高めに設定されていることが多くあります。
もともと不動産投資ローンの金利は住宅ローンなどの金利よりも高く設定されていますから、支払う利息が多くなります。
すなわち自己資金を抑えた分だけ高い金利による利息の支払いが多くなるのです。
手元の自己資金が重要
利息の返済も含めて滞りなく行うことが出来れば問題は無い訳ですが、返済の原資を家賃収入だけに頼っているとなると、もし空室や賃借人による家賃の滞納が発生した場合に返済が出来なくなってしまいます。
オーバーローンなどで急速に資産を拡大していた場合には大変な額の負債になるかもしれません。
賃貸経営を行う場合には自己資金と融資の割合を十分に検討し、融資割合を大きくする場合には手元に余裕資金を残しておくことが大切です。