不動産基礎知識

競売による買受人の引き渡しでの注意点

競売物件を入札によって落札したからと言って安心する事はできません。何故ならば、その物件には占有者がいる場合もあります。どのように対応すれば良いのでしょうか。競売による買受人の引き渡しでの注意点について紹介しましょう。

引き渡し命令とは

競売で落札者となった場合には、買受人として所有権の権利を持つ事ができます。まずは競売代金の残りを全て支払う事で、裁判所は所有権移転の手続きを進め、正式に所有者となるわけです。

一方、前の所有者はそのまま受け渡しに応ずるかと言うと、退居しようにもその元手となる資金がない場合が多く、仕方なく占有状態になっていることがあります。それを解消する為の方法として「引き渡し命令」があるわけです。

話し合いでの方法が無理な場合には「強制執行」を行うことがありますが、「引き渡し命令」を申し立てする事でスムーズに進行できれば裁判よりも手短に済みます。

【1.所有者に対しては】
債務者である元の所有者に対しては、6カ月の期間内に引き渡し命令の申し立てが必要です。破産申告している場合には、破産管財人が相手になります。

【2.占有者に対しては】
賃貸借契約による部屋などを借りている人に対しては、9カ月の期間内に引き渡し命令の申し立てが必要です。少なくとも6カ月の期間内は、住み続ける主張が約束されています。抵当権者や押債権者等に対抗する事が可能な場合には、地上権や賃借権等が占有権を認めています。

【3.申立人とは】
競売の買受人が代金を全て支払った時点で所有者になる権利があり、「引き渡し命令」の申立人になります。

引き渡し命令の流れ

申し立てを行ってから明け渡しの解消までの流れを紹介しましょう。

1.買受人が代金を支払って所有権の移転を行います。
2.占有者に対して、話し合いと並行して「引き渡し命令」の申し立てをします。
およそ3日で「引き渡し命令」の決定が下ります。
3.話し合いが無理な場合に「強制執行」の申し立てを行います。
4.およそ2週間後に強制執行の勧告を占有者に行います。それから強制執行の時期を1カ月後に実施する事を通達します。
5.裁判所の執行官と一緒に引っ越しの業者が現場に行き、占有者の荷物の運び出しを行い明け渡しが完了します。

強制執行と立ち退き料の比較

強制執行の場合には時間と費用がかかる上に、債務者からその時にかかる費用を回収できるとはかぎりません。荷物の運び出しや申し立てに費やす時間を考えた場合に、相手との話し合いを行って引っ越し費用を受け持つ事で、安く済む場合が考えられます。

本人に支払い能力がないのであれば、それに対する全ての費用を代行する事を考えれば、どちらにしても出費が必要となるので、安く済ます事ができる引っ越し費用の方が、負担が少なくて済みます。

まとめ

法的には強制執行による行為は問題ないのですが、人道的立場を考えた場合に、相手が老人などの弱者に対しての行為は心苦しい気持ちが勝ってしまいます。通例的な考えとして、引っ越し代金を立ち退き料の代わりとした方が費用的に安く済む場合があるので検討の余地があるのです。

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