競売の申立てが行われた後に競売続行決定という通知が出されることがあります。言葉だけをみると、競売による売却を押し進めることの連絡のようにも捉えられますが、この続行決定とは何を意味しているのでしょうか。
競売が行えない事由
住宅ローンの滞納が続いたことによって金融機関が競売の申立てを行った場合に、通常であれば裁判不要のためスムーズに書類が受理されて、競売による売却に向けた作業が進められていくことになります。
しかし、よくあることではあるのですが、住宅ローンの滞納をしてしまった債務者は、固定資産税などについても滞納を続けており、すでに課税主体である官公庁等から滞納処分による差押登記がなされていることがあります。このような場合には、債務者名義による競売や抵当権などの担保権の実行による競売の開始決定がされても、原則として競売の手続きを進めることができません。
しかし、それでは債権者のほうも困ってしまいます。折角、裁判で勝訴したり、事前に抵当権を登記したりしていたのに無駄になってしまいます。そこで、「滞納処分と強制執行等との手続きの調整に関する法律」に定められた手続きを行って、上記の場合に競売の手続きが進むように手配をします。
続行決定申請によってどうなる
税金などが滞納されて差押の登記がなされた不動産は競売の手続きを進めることができません。このため債権者は競売の申立てと同時に「続行決定の申請」を行うこととなります。この続行決定の申請によって、裁判所は税金の課税主体である租税官庁等の徴収職員等の意見を聴いて、競売の手続きを進めることが相当であると認めた場合に競売の続行決定の判断をくだします。
なお、このときの徴収職員等の意見については、聴くことで足り、特段の同意は必要ありません。仮に徴収職員等が競売の実行に反対をしても、裁判所が競売手続きを続行させることが妥当と判断すれば、競売手続きは進むことになります。
任意売却と続行決定申請
競売と任意売却が並行して進んでいる債務者の方にとって、裁判所からの続行決定の通知が来ると驚いてしまうことと思います。任意売却で話を進めようとしているのに、裁判所からの通知で続行決定と来ると気持ちが焦るのは十分に分かります。
この続行決定の通知は、そのまま競売の手続きが進みますということを改めて連絡してきた文書という程度の認識で構いません。しかし、競売の手続きが進むことに間違いはありませんので、時間が限られていくことになります。そのスケジュール的な面については、しっかりと認識して任意売却を進めていきましょう。