競売における賃借人と賃貸人とは、誰をしめすのか?また、賃借人の権利とは何があるのか?どのような制度があるのか?などをみていきましょう。
競売における、賃借人と賃貸人の権利の違い
賃借人と賃貸人とは?
競売において、賃貸人は債権者が買受前には(債務者)元の持主をいいます。買受後、「抵当権を設定の登記後」は(債権者)が賃貸人になります。賃借人は、賃貸契約をむすんで競売物件に住んでいる人(借主)の事をいいます。
・賃貸人 買受前(債務者) → 買受後(債権者)
・賃借人 競売物件に住んでいる(賃貸契約を結んでいる借主)
賃借人の権利(認められる事と認められない事)
【明け渡し猶予制度】
競売では、買受人が代金納付をした時点で所有権が買受人に移行します。その場合、居住者はすぐにでも、その物件を明け渡さなければならないのですが、賃借人(賃貸契約をむすんで住んでいる)居住者は6か月の明け渡し猶予が認められる場合があります。(条件あり)
・債権者の抵当権設定以前から、賃貸で住んでいる場合は 新しい賃貸人に家賃を支払い、契約満了まで住むことができる。
・賃借人が家賃の滞納(6ヶ月の猶予期間中に)をして督促されても払えない場合は、猶予期間がなくなります。
・競売手続きの開始後から賃貸契約をした場合は、猶予期間が認められません。
・賃借人は、賃貸人(買受人)に敷金の返還請求をすることはできません。賃借権(建物をかりる権利)が認められるわけではないからです。
賃貸人の権利(認められる事と認められない事)
賃貸人は「明け渡し猶予制度」があるため買受後から6ヶ月間は、「引渡命令申立」ができません。債権者が抵当権を設定する以前から、賃借人がその物件に住んでいる場合は抵当権よりも賃借権が優先されるためです。(立ち退き要請ができない)
・賃借人が一定の期間以上(明け渡し猶予中)に家賃を滞納した場合は、「引渡命令申立」ができます。
・賃貸人は、債権者が抵当権を設定する以前から、賃借人がその物件に住んでいる賃借人に対して敷金を返還する必要はありません。しかし、賃貸人の地位を旧所有者から承継した場合、旧所有者に預けられていた敷金は賃貸人の地位と共に移転するため、賃借人に敷金の返還をしなければなりません。
競売物件情報3点セット
賃貸人が、競売物件についての情報・権利などを確認できる3点セットがあります。不動産競売物件情報サイト「BIT」や裁判所の閲覧室で情報提供されています。
「現況調査報告書」
その土地がおかれている状況、建物の種類や造りなど不動産の今の状況や、占有者の有無またその占有者が占有する権限を持っているかなどが記載されています。不動産の写真なども一緒に添付されています。
「物件明細書」
土地や建物だけを買った場合に、建物のために低地を使用できる権利があるか。また、引き継がなければならない「賃借権」があるかなどが記載されています。
「評価書」
競売物件の周辺の環境やその物件の評価額などが記載されています。不動産の図面などが、添付されています。
まとめ
賃貸人と賃借人のそれぞれの権利がありますが、少なくとも賃貸人は競売物件を買受ける前に、上記の3点セットの内容をよく確認して考慮する必要があります。内容がよくわからないなど多くあると思われますので、競売物件に強い不動産を選び相談することをお勧めします。
不動産のことに関して疑問やお困りごとがありましたら、お気軽に「株式会社アブローズ」までご連絡ください。