競売で落札した物件に住んでいる人がいる場合、「物件から出てもらうにはどうしたらいいのか?」「誰が交渉などを行い、どれぐらいの期間が必要なのか?」など、落札してから引き渡しまでの流れを踏まえて説明していきましょう。
引き渡しまで
「競売で落札した物件を引き渡しされるまでには、誰が交渉などを行うか?」
結論から言うと、落札者が自分で行うことになります。そもそも、一般的な建物の売買と違い売主が存在しません。従って、売主の義務や責任を問うことができないのです。
このことから、買主側の保護がないためにリスクやトラブルは自己責任で対処しなければなりません。落札物件に住んでいる人がいる場合には、買主が直接交渉を行うか裁判所への手続を経て引き渡し及び、立退きを求めることになります。
引き渡し義務
競売においては、上記でも少し触れましたが売主の義務や責任がありません。一般的な売買取引の場合は、売主が物件の鍵や設備などを買主に引き渡すのはもちろんですが、荷物やゴミなどの残置物を残すことなくすぐに使える状態で買主に引き渡します。
しかし、落札物件においては「引き渡し義務」が存在しない(売主がいない)ため、立退きなどの交渉や残置物の処理も買主が対処しなければならないというわけです。
交渉からの流れ
最初に物件に住んでいる人との直接交渉を行います。住んでいる人に引っ越し費用を負担する事などを条件に交渉することが多いようですが、その費用はもちろん買主側となります。
それでも、交渉が成立しない場合は裁判所に申立ての手続をします。流れとしては、以下の通りです。
①「引き渡し交渉」
物件の代金を納付した後、直接交渉。成立した場合は、引き渡し時期などを取り決めて引き渡しの方向へ進めます。決裂した場合は、②へ。
②「引き渡し命令の申立て~確定」
裁判所へ申立てを行う、3~4日で「決定」されると引き渡し命令の正本が買主と住んでいる人の両者に送達されます。その後、不服(執行抗告)がない場合は1週間ほどで命令の「確定」がなされます。
③「強制執行の申立て」
「引き渡し命令」の確定がされると買主は、「強制執行の申立て」をすることができます。これは、裁判所によって住んでいる人を強制的に立ち退かせるための手続となります。その後、1週間以内に買主は、執行官との面談を行い「明け渡し催告」の日程や断行の日などの話し合いをします。
④「明け渡し催告」
話し合いから2週間ほどで、「明け渡し催告」が行われます。執行官、立会人、鍵業者、執行業者などを伴い落札物件へ訪問し、住んでいる人に対して明け渡しの期限を告知します。概、催告から1ヶ月後に期日が設定されており、期日までに明け渡しがされない場合は強制的に退去させられます。
⑤「強制執行」
当日は、執行官や業者などが来て鍵を開けて家財道具一式を運び出します。荷物は一時的に倉庫に預けられることになりますが、引き取りがない場合は破棄または売却となります。住んでいる人に関しても、強制的に連れ出されることになります。
まとめ
落札物件に住んでいる人がいる場合について、説明してきました。交渉や手続など様々な事を買主がしなければなりません。スムーズに事を進めるためには、専門の業者や専門家に相談されることをお勧め致します。
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