任意売却をスムーズに行う場合には、抵当権の抹消が必要となります。ここで問題になるのが、複数の抵当権が設定している場合です。この場合に優先順位などで、抹消に応じてもらえない場合があるのです。この対応として任意売却の抵当権の抹消で2つの方法について紹介しましょう。
複数の抵当権を設定している場合
任意売却を行う場合には、債権者に対して「抵当権の抹消」の許可が必要になるのです。債権者が単独の場合は、交渉がスムーズに行われます。
しかし、複数の抵当権を設定している場合には、優先順位がある為に、ほとんどの場合は、第1番となる抵当権の支払いで終わる可能性が高い為に、第2第3の抵当権保有者までは、配当が回らない可能性が高くなるので、全部の承諾を取る事が困難になって来るのです。
買主に対しては、抵当権が付いたままだと購入しにくい物件となります。もし、承諾が得られなければ任意売却が困難となり競売の方法しかなくなってしまいます。競売に移行すると、市場価格の70%程度の価格で取引されますので、債務者はもとより債権者にとっても良い方法とは言えないのです。
任意売却の抵当権の抹消には2つの方法
解決する手段は以下の方法となります。
1.全ての承諾を得た場合
まずは、単独の抵当権の場合や、複数の抵当権設定の場合でも、全ての「承諾」を得る事ができれば、抵当権の抹消を行う事が可能になります。この場合の複数の債権者達に対して、配当の優先順位があるので、1番目の抵当権を保有している債権者は、ほぼ独占する形になます。
2番目以下の抵当権保持者に1円も配当されない事に対して、承諾料と言う形で、全ての承諾を得る方法が「ハンコ代」として通用しているのです。
1円ももらえないのならば、せめて承諾する条件として「ハンコ代」での承諾料をもらった
方がプラスと考えるのです。この方法がスムーズに承諾をもらえる一般的な方法です。
2.債権者の1件でも承諾を得られなかった場合
中には、どうせ配当金がもらえないのならば、嫌がらせとして許可に応じない場合も出てきます。この場合の対処方法としては、所有権の移転を先に行って債権者に対して「抵当権消滅請求」を行います。
この場合の売主に対しての購入額は、引っ越し代くらいで大丈夫でしょう。代わりに抵当権者に対して、市場価格と競売価格の間を取った売却値段を提示して支払いをする「抵当権の抹消」に応じてもらう方法です。
ここで重要なのが、それでも応じないとなれば、「抵当権消滅請求」を申請します。2カ月以内に競売の手続きを行わないと、承諾したとみなされて買主との交渉に応じなければならなくなります。
しかしその場合であっても、裁判所によって「競売の取消」が行われる事になり、承諾したとみなされます。裁判所が競売を認めない理由としては、無剰余取消の制度があるので、明らかに配当が回らないのに競売を進める事は意味のない事として、競売の許可が認められなくなります。
結果的に抵当権の抹消に対して承諾する事になり、債権者の許可を必要としないのです。この場合の交渉では「ハンコ代」にあたる承諾料は存在しませんので、順位が後になる債権者に対しては1円も入らなくなります。
結果的に損をする事になるのです。できれば、2つ目の方法は時間がかかる事と、2番目以降の債権者にとっては、プラスにならない事を、最初の交渉で進めて理解させる事が肝心です。
まとめ
任意売却の抵当権の抹消には2つ方法があるのですが、後順位の承諾料やスムーズな任意売却の流れを考えた場合に「抵当権消滅請求」を使わずに、話合いで解決できるもう一つの方法を進める事が円満な解決策なのです。
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